揺籠ふぃるす

古城の妖鬼の揺籠ふぃるすのレビュー・感想・評価

古城の妖鬼(1935年製作の映画)
4.7
リメイク元である
『London After Midnight』
(1927)もし日本で公開されてたら『丑三つ刻の倫敦』とでも呼んだでしょうか。
1965年MGM倉庫火災でフィルム焼失。しかし、スチール写真などの残存資料を縫合し、字幕を張り、紙芝居風に魅せる45分(オリジナルは69分)のreconstruction version(再構築版)を『古城〜』再鑑賞前に鑑賞。ページが無いのでこちらにレヴューを書かせて頂きます。

ランタイムの短さに高を括り、字幕を書写して、グーグル翻訳 featuring 俺(中学英語スキル)で挑んだが、当初3日で終わると思ってたのが一週間かかってしまった。
まずやっぱり目を引くのが、ロン・チェイニーのヴァンパイアコスチュームとメイク。ざんばら髪に山高帽、ずんぐりむっくりの身体をインバネスコートで包み、目の回りは真っ黒に隈取りされ、ケープを広げると、蝙蝠の形になる!大きく広げた口に並ぶ、鮫を思わせる鋸歯!

まさに、『ノスフェラトゥ』と『魔人ドラキュラ』の過渡期を思わせる。

映画終盤の彼、誰かに似ているなと思ったら『アダムスファミリー』のフェスター叔父さんだ。あと、『レンフィールド』のドラキュラ伯爵のギザ歯はここから来てるなとも思いました。

残念ながらピースのかけたパズルのように、説明不足や文字だけの場面は多々ある。『ノートルダムのせむし男』であれだけアクロバティックな鐘つきを観せてくれた方だもの、きっと空飛んだろうな。とか思いました。パブリックドメインです。どこで観ても平気かと存じます。しかし、先に『古城の妖鬼』を御覧ください。その方が良いです。本気に。

大事なのでもう一度、
『古城の妖鬼』を先に観て頂きたいのです。

そして、『London After Midnight』セルフリメイク、『魔人ドラキュラ』のセルフパロディー、2本を足して割ったのが、この『古城の妖鬼』な訳です。『London〜』の説明不足を見事解消し『魔人〜』のパロディーには、思わずクスリとさせられる。

ベラ様のラストの台詞、最高だぜ。

歴史に埋もれた傑作。
私と同じく、映画の墓暴きが好きな方は是非御覧頂きたい。
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