日欧米 Movie Sabbath
16作品目
『サスペリア』(1977)リメイクだけど、次作『インフェルノ』(1980)からの引用もみられるので、足して3で割って新解釈・新展開をさらに足した感じ。
オリジナルは魔術とバレエとの間にほぼ関わりがありませんでした。自分は神事の巫女に例えてレヴューしたけど、そこをマジにやってくれた事に感謝。
シャーマンや巫覡[ふげき]の人々が、舞踏によって精霊や神を降ろし、神憑りになるトランス状態をモダン・ダンスに盛り込んでいるんでしょうか。
今でもごく僅かながら、国内でもこの系統の巫女舞を残す神社があるそうです。
劇中赤い紐のようなセクシーな衣装が美しかったですが、巫女装束に色味の共通点があって興味深かったです。
舞踏を用いる所が、言語成立以前のプリミティブな魔術を連想させ、キリスト誕生以前を印象づけられました。
正直初見の理解度はかなり低かったろうと思います。2周目は楽しかったです。それでも5割いったかどうか。意図的に周回プレイを見越した造りでしょう。それは隠れ潜ませるようなタイトルバックで明らかだと思います。
それでいいんです。それこそがまさにOCCULT(ラテン語Occultus、隠された・秘密)だからです。対象として描くだけでなく映画全体の手法としてもオカルトを表現していて粋だと思いました。(初めてこの監督さんの作品観たので芸風だったらごめん)
舞台は1977年、2つに分断されたドイツのベルリン、舞踊団(カヴン)の中でも2つの派閥に分裂している。ドイツ赤軍動向と舞踊団の動向はリンクしているように思えます。
『転移の心理学』カール・グスタフ・ユング著(未読)
(Amazonの説明文一部抜粋)
『ただし一人の人間が自分だけで進める個性化ではなく、二人の人間の間で進行する個性化過程なのである。ユングの心理療法を知るうえで、もっとも重要な書。』
細かい章立てと長尺は『HAXAN 魔女』(1922)を意識してのことか。
ジャッロ(訳:黄色)が表紙のベルリンマップガイドは、舞台説明ついでのオマージュでしょうか。
鏡の間でのマリオネット脱臼ダンスシーンは、呪術的で素敵でした。
"動きは常に語る言語なのよ。一つ一つのポーズは単語。それがつながって空間に文章を綴っていくの。詩のように、祈りように。”
"呪文のように―――”
Coup de foudre
クー・ドゥ・フードゥル
眩い稲妻、ほとばしる愛。
(訳:一目惚れ)をジャンプ1つに込めて飛べと。
サラのナイトガウンて着物ですかね。そんな風に見えるんですが。
ダンス衣裳について、MOVIE WALKER PRESS 記事より一部抜粋、原文ママ
『グァダニーノ監督は「これは、このダンス・カンパニーが快楽と痛みの上に作られていることを示している」そうで、ボンデージ・テクニックや荒木経惟の作品を参考に作られたことを明かしてくれた。』
亀甲縛りと魔法陣の幾何学紋様を合わせるセンスを私は持ち合わせていませんでした。
発表会ダンス・シーンは失敗してしまいましたが、音楽も相まって見事な儀式でした。
アンケにジェシカ・ハーパーさん。嬉しい。
圧巻のラストサバト、ビッグ・ネームを騙ってたら、乗り換えようとした器が、ご本人でした。絶大な魔力で死神召喚。そして死の接吻(マフィアが組織内の粛清のためにする)で紅い狂乱の宴に…。
マザー・サスペリオルムによって苦痛から解放される博士。
そして最後のシーンは別のシーンの使い回しだそうで、カメラ目線じゃないのがもったい無いですが、明らかに観ている我々に向けられていると思ったんですが。
マザーに触れられ、あなたは何を願うだろうか?