まめだいふく

不滅の恋/ベートーヴェンのまめだいふくのレビュー・感想・評価

不滅の恋/ベートーヴェン(1994年製作の映画)
3.0
 私の天使
 私のすべて
 私の分身
 今日は少しだけ書こう
 あなたの鉛筆で

 生涯を独身で通したルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。彼の死後発見された遺書には、とある女性に宛ててしたためられた愛の言葉と、その女性に財産を譲るという旨が記されていた。しかしその女性の名前は書かれていなかったため、彼の弟子であり友人であったアントン・シンドラーは、数少ない手がかりを元に、その女性を探す旅に出る。果たしてベートーヴェンが唯一心から愛した女性とは誰なのか。シンドラーは旅の果てに驚きの真実にたどり着く……。

 誰もが一度は目にしたことがあるであろう音楽室のあの肖像画から、気難しそうなイメージしかなかったベートーヴェン。まんまやった。
 とにかく偏屈だし自分勝手、人に当たるわ物に当たるわ、気性も突然荒くなったりと、なかなか性格に難ありの人物。人生半ばで難聴になってしまったことも、彼の苛立ちに拍車をかけてしまったのだろうか。そんな彼なので、キレ芸に定評のある(?)ゲイリー・オールドマンは適役だったのかもしれない。
 でもまあ、そんなベートーヴェンも、女性を愛する気持ちは純粋だったということか。

 本作は伝記ものであり、ミステリーでもある。
 実際にはどこまでが史実で、どこまでが創作だかはわからないが、謎めいた女性の正体を巡る一つのミステリードラマとして完成度も高く、面白かった。
 そして改めて『第九』は、それこそ不滅の名曲だなと。
 
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