ボブおじさん

ある愛の詩のボブおじさんのレビュー・感想・評価

ある愛の詩(1970年製作の映画)
3.9
可憐で美しい娘ジェニーと彼女を愛する裕福な家庭で生まれ育ったハーバード大の学生オリバー。だがオリバーの厳格な父親は、家庭環境の違いから2人の恋に猛反対する。オリバーは反対を押し切りジェニーと結婚するが…。

身分違いの恋愛と不治の病の発覚というと今ではありふれた設定に聞こえるが、当時のアメリカは恋愛映画はヒットしないと言われていた時代。戦争映画やパニック映画全盛の時代に作られたこの純愛映画は、大方の予想に反して瞬く間に大ヒットした。

映画の脚本として書かれたエリック・シーガルの原作は、純愛小説としても世界的ベストセラーとなったが、原題はシンプルに「LOVE STORY」。これを「ある愛の詩」と訳した心憎い邦題も日本での根強い人気に一役買っていると思う。

当時の人々が求めていた純粋なラブストーリーと共に、この映画を名作ロマンスと言わしめているのは〝愛とは決して後悔しないこと〟というラストの印象的な台詞と映画音楽の大家フランシス・レイによる甘美なテーマ曲の功績も大きいだろう。

若いカップルの出会いから悲しい別れまでを、等身大の視点から綴った愛の物語。

主演は当時まだ「ゲッタウェイ」の大ヒットで有名になる前の女優アリ・マッグローと、ナイーブな好演がこの役にぴたりとはまったハンサムな若手ライアン・オニール。この手垢のついていない若い2人がストレートな恋愛映画にピタリとハマった。

本作を見たことがなくてもそのメロディを聴いたことがない人はいないのではないかと思われる有名なテーマ曲が感動をマックスにまで高める。

〈余談ですが〉
ラストの〝愛とは決して後悔しないこと〟という有名な台詞は、時代を超えて〝愛〟という形のないものに対する普遍的な定義としてその後多くの映画やドラマで引用されてきた。

真面目な恋愛ドラマからコメディ映画のパロディまでオマージュされた作品は数多いが、中でも極めつけは1972年のコメディ映画「おかしなおかしな大追跡」のラストシーンではないだろうか?

バーブラ・ストライサンドからこの台詞を投げかけられたライアン・オニールは〝そんなくだらない台詞は聞いたことがない〟と答えるのだった😊