ジョンマルコビッチ総統

ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘宝のジョンマルコビッチ総統のレビュー・感想・評価

2.4
ハムナプトラは大好きだがこの続編はいただけない。

序盤のイギリス→上海あたりまではワクワクしたのだが、皇帝が復活し敵味方が入り乱れるシーンになると突然粗が見えてくる。
まずセリフの流れがおかしくなり、脚本がズタズタ。
宝探しの冒険ターンも、CGのクオリティは高いものの、個性がなくなんとなく盛り上がりに欠ける。
中国の神秘を表現しようとするくせに下手な歯車の仕掛け、龍でなく西洋のトカゲ型ドラゴンに変化する皇帝など、東洋への造詣がまったく感じられず、本シリーズの最大の魅力である古代文化へのエキゾティズムを微塵も感じることができないのは致命的ではないだろうか。
あと、ラスボスである皇帝の恐怖感や絶望感がこじんまりとしてしまっているのがまずい。(けしてジェットの身長が小さいからじゃないぞ!)ラスボスなのにキャラが弱いのだ。
冒頭でもそこまで悪事を働いている感じでなく、異民族を征服してこき使っているただの中国皇帝というイメージ(西洋的にはアウトなのかも)。ミシェル・ヨーや娘を見初めて俺のもの宣言するもとくにグイグイ手を出すわけでもない。絶対いい奴ではないけど、そんなに極悪な感じもしないみたいな。
どうせならかつて演じたリーサルウェポンのクーのような残虐性や圧倒的な強さを見せつけるとか、イムホテップのような圧倒的巨悪感を出すとかしてくれれば物語も締まっただろう。
もうほんと、脚本と演出がまずいとしか言えない。
ジェット・リーの無駄遣いにもほどがある。

前作と圧倒的にクオリティの差があるなと思ったら監督が代わっていたようで納得。
金と作品のネームバリューにかまけて、世界観や物語性などクオリティをおざなりにした結果コンテンツが潰された悪例となってしまっている。

レイチェル・ワイズが降板した時点でこの企画は詰んでいたのだ!

結局この一点に尽きる。

【悪いところ】
・エヴリンだけどエヴリンじゃなぁい!
・功夫皇帝の無駄遣い!
・中国感のない謎魔法
・車裂きの刑にあったのに手足が3/4無事な将軍
・下手くそな吹替アレックス
・ミイラへの尊敬ゼロックス

文句ばかり言ったがもちろん良いところもある。

【良いところ】
・音楽が素晴らしい。エンドロールは長いけど映像も相まってかっこいい!
・序盤のワクワク感
・エンタメとしては一定以上のクオリティ
・いつもの楽しい言葉の応酬
・ジェットリーvsミシェルヨー
・ジェットリーvsウージン
・ジョナサンかわいい
・イエティーもかわいい
・皇帝もかわいい
・ペルーでまたミイラに襲われるであろうジョナサン

ほんと監督とレイチェル・ワイズが再登板してから『ペルー・天空のミイラ編(仮)』で出直してください。映画館観に行くので。

前作までの期待値に対する裏切り度合いということでこの点で。