ジョンマルコビッチ総統

時計じかけのオレンジのジョンマルコビッチ総統のレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
3.5
映画芸術の極みのようなデカダンスと狂気に酔いしれる名画。

さて、アレックスの恐ろしさはその純粋な邪悪さである、と思う。
かつての加害の場で雨に唄えばをご機嫌に鼻歌で口ずさむなど、自らを殊勝な若者に擬態するのも罪悪感ではなく狡猾さからである。禁断の精神実験は、彼に一時のくつわを付けることは出来ても、その邪悪を滅するどころか、より深く恐ろしい悪魔に成長させてしまったのかもしれない。

キューブリックらしい神経質なシンメトリーと変質的なカメラワークは実に美しく、サイケな色彩の世界観にも魅了される。
先の気になる面白い映画だが、人にお勧めする場合は注意が必要だろうね。