あつお

プラダを着た悪魔のあつおのネタバレレビュー・内容・結末

プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

人間にとっての真の幸福を再考する作品。
主人公のアンドレアは、ジャーナリストを夢見るキャリアウーマン。有名大学を卒業したものの、多くは一般的な女性と変わらない。恋人のネイトと素朴ながらも、幸福な人生を過ごしてきた。ある日、ジャーナリストとしての躍進を遂げるため、ニューヨークである企業の面接を受けたアンドレア。そこは、1年働けばどこでも通用すると言われるほどの有名企業「RUNWAY」。誰もが羨む職場環境だ。しかし、そこには本作のタイトルにもなっている「プラダを着た悪魔」、ミランダが潜んでいた。
ミランダは、アシスタントをぞんざいに扱う。我儘が度を過ぎているが、第1アシスタントのエミリーはそれらの要望を難なくこなしている。無理難題を押し付けるミランダに対して、アンドレアは初めこそ不満を抱いていた。しかし、自分がミランダの要求に応えられていない、その事実を受け止めると、ミランダの理想の姿に化けるようになる。高級ブランド品を身にまとい、ミランダの要求は全てこなすようになる。スターバックスのコーヒーから、ハリーポッターの未発売の原稿まで、ありとあらゆる要望に応えていた。24時間、何をしていようとミランダの電話に応え続け、信頼を勝ち取っていった。しかし、そのためには私生活が犠牲となる。友好関係、特に恋人ネイトとの関係は次第に冷え切っていく。仕事での成功を夢見るアンドレアであったが、本当に夢見た姿だったのだろうか。視聴者としても、不安に思う瞬間であった。そんなアンドレアであったが、ミランダと行動を共にして、彼女の思想を肌で感じるうちに、現状に違和感を感じるようになる。仕事上では誰もが羨む成功を果たしたミランダであるが、私生活はボロボロ。何度も離婚を繰り返し、お世辞にも幸福とは言い難い。アンドレアはそんな彼女との決別を決意する。
物語の終盤ではネイトと復縁を果たし、目の前の小さな幸福を感じながら生きていく。ミランダの推薦もあり、大手新聞社の社員として採用されるアンドレア。人生には複数の分岐点があるが、粘り強く取り組み続ければ最終的にはゴールに辿り着く。周囲の支えに感謝しながらも、ひたむきに努力する大切さに触れた作品でした。
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