このレビューはネタバレを含みます
エミリーがアンディに言った「ヒールを履いた時悪魔に魂を売ったと思った」という表現が凄く好き
序盤ではミランダが「流行の最先端を作り、時代を形作ってきた存在」として描かれる。
一方、終盤で彼女が「人々が何を求めているかを理解し、それを実現するためには犠牲を厭わない」と語る場面がある。
この言葉から、彼女の役割は人々の欲求を敏感に察知し、それを形にすることで流行を作り出していたに過ぎないことが明らかになる。
つまり、ミランダがゼロから新しい時代を創出していたわけではなく、人々の潜在的な欲望に応える形で流行を「形作った」ということに気づかされる。
この点に違和感を覚えるのは、彼女が「クリエイターとしての絶対性」を持つ存在であるかのように描かれていたが、実際にはその姿が幻想に過ぎなかったことを示している。ミランダの本質は、「時代を作る者」ではなく「時代に応える者」であると言える。
悪魔に魂を売るというのはつまり、そういうことなんじゃないかと思った。