S

プラダを着た悪魔のSのレビュー・感想・評価

プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)
4.0
人生のバイブル映画にしたい一本。とにかくファッション好きにはたまらない映画。生き方も服装も十人十色。

誰かにとっては必要ないオシャレでも、誰かにとって服は人生そのもの。

ファッションに何を求めるか。価値観はそれぞれに違うけれど、それぞれの考えが全て正解だと思わされる。一度でいいからこんな服を着て華々しく歩いてみたい。何回見ても必ず泣いてしまう。感動というよりも、憧れが強い映画です。

オシャレに興味がなかったアンディが、どんどんオシャレになっていくのも、他の事を目指すための言わば踏み台として受けた仕事に精一杯本腰を入れるのも、とても輝いていた。

アンディに共感するか、ミランダに共感するかは個人の判断。だけれど、私はやはりミランダに憧れる。ファッション界にとって重要な圧倒的センスと、屈しない姿勢。憧れの女性像だった。

仕事と恋とどちらを取るかというのは、女性にとって大きな問題になると思う。たぶん男性でも。その点もこの映画ではうまく取り入れていると思う。仕事一筋のミランダは仕事では成功しているけれど、全てを仕事優先のために家庭は崩壊。アンディが最後に仕事のために彼を切り捨てない選択をしたのが印象深かった。けど~!

恋のために仕事を辞めたわけでは決してない。元の自分の夢のために仕事を辞め、ミランダと別の道を歩んでいく。本音を言うと元の環境に戻りまた新しい道を歩いていく上で、恋人とも別れを告げて欲しかった。あのミランダの元で働き影響を受け、結果辞めてしまったけれど、その世界で精一杯頑張ったのだから!他人の価値観を認められないこの恋人は切り捨てて、別の男性と結ばれて欲しかった!そこだけが本当に悔しい。

ミランダの元で数ヶ月。今までの自分と正反対の環境・正反対の人間・正反対の考え。その中で自分も変えて、猛勉強して周りに追いつき、そして追い抜き信頼されるアンディが、最後にその世界を抜け、再度元いた環境に戻る。

「合わなかった」とはいうものの、しっかりそこで得たもの、学んだ事を心に秘めて大切にしながら次に繋げて行っているのがとっても良かった。

ミランダが最後にとった行動がね!あの言葉がね!思い出しただけでグワーっと感情が昇りつめてくる!!

服に無関心なのも、利便性を求めるのも、ファッション性を求めるのも、個性を求めるのも、その全てが正解。個人個人の価値観は違って、それぞれを突き詰めた先には違う世界が広がっている。というのがこの映画を見て一番感動し、共感し、そして考えさせられる内容だった。
S

S