エブエブではなくエリエリ。イエス様(ケンジ様)の痛みが音の振動が歪みとなって現世まで伝播する。せっかくのシューゲイザーなのだからもっと鼓膜が耐えうるギリギリまで音量を上げてほしかったな映画館。内容は途中流れるギャビンブライヤーズの歌詞が暗示している。森敦の同名短編小説「エリエリレマサバクタニ」(名前を失ったサックスミュージシャンの話)に着想を得ているということで、やりたいことは断片的にだが分からなくもないし、表現としても映画表現の限界に挑むという点で凄みもあるが、それでも物語のプロットには多少の蛇足があったかなという印象を抱く。レミング病等世界観の説明をわざわざ入れたり、病原菌の雑なグラフィティを流したり、探偵はいいとして爺や筒井康隆の存在(内容的に彼が出たがるのは分かるが)はもっと薄くしたほうが筋の散漫を回避できたのではないかと。主演3名の昨年のインタビューをみたが、ほとんど撮影時の記憶がないらしい。それくらい刹那的な即興でとったろう作品なのだから、もっと台詞も端折ってしまえばよかったのにと。ただこの背景というかぬけた場所の画の力にはやはり圧倒されてしまうなあ。最後の空から降る綿は蓮見が説明してるのでノーコメント。