ラグナロクの足音さんの映画レビュー・感想・評価

ラグナロクの足音

ラグナロクの足音

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リュミエール!(2016年製作の映画)

3.6

貴重な明治期の資料の寄せ集め。映画的滋養に満ちておる。50秒ワンカットしか撮れない、この制約があったからこそリュミエールはここまでの想像をかき立てたられたに違いない。絵画や写真との繋がりが感じられ、解>>続きを読む

フィクショナル(2024年製作の映画)

2.0

ただの闇バイト再現映像。ナンバー23とかその辺の類。まあそろそろ現実がSFを超えてきてるよね。これはあと5年以内におきる共同幻想でしょうよ。画面上のもの何も信じられなくなる世界、その時にゃ情報インフラ>>続きを読む

イル・ポスティーノ 4K デジタル・リマスター版(1994年製作の映画)

3.6

南イタリアの寂れた漁村に祖国チリを追われた詩人が訪れることから始まる、詩人と郵便配達人の詩作を通して結ばれる友情の物語。マッシモ・トロイージの素人らしい飾り気のない素の演技とフィリップ・ノワレの老練な>>続きを読む

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024年製作の映画)

5.0

アーサー(ダンサー)インザダークやないかい。監督は自ら創ってしまった怪物を自らの手で裁判にかけて葬った。こんな辛いことはないだろう。しかし監督以前にアーサーを懲らしめジョーカーを彼を誕生させたのは他で>>続きを読む

HAPPYEND(2024年製作の映画)

1.5

台詞で語らせてしまうことの危うさ痛感。揺らぎが題目なのに固定化された窮屈で決めすぎな画。金八先生のいない金八先生でキツかった。音で誤魔化すな。青年たちの演技は花丸。

(2025年製作の映画)

3.7

犬の名前がバルザック!がこの映画のクライマックスでありアンサー。「小説(妄想)と現実どちらがリアル?」すっかり使い古された大人気のテーマだけれども、筒井節の独特なメタファーとデヴィットロウリー流の空間>>続きを読む

親愛なる日記 レストア版(1993年製作の映画)

3.4

ローマの街を只々ベスパで巡る話、友人と仕事に集中できる島を探す話、不思議な身体のかゆみと戦う話。エッセー映画?初めて観るタイプの監督本人が主演の日記形式。ひたすら退屈だがウディアレンみたいな捻くれた感>>続きを読む

FUKUSHIMA with BELA TARR(2024年製作の映画)

3.5

ぐたぐだ説明するな
スクリーンが映るものがすべてだ
画面に何を映すのか
言い訳してないで被写体を決めよ
生半可にやってたらバレる
ストーリーは必要ない必要なのは印象
何度もテイクを重ねると役者は機械的
>>続きを読む

モア(1969年製作の映画)

2.9

ピンクフロイドの曲が最高すぎる田代まさし映画。ヒッピー最前線。魔性の女に惑わされ、ヘロイン中毒から抜け出せなくなり、やがて田代まさしになるドイツ人青年の話。たしかに短髪のミムジーファーマーは美しすぎる>>続きを読む

生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.0

かなりカズオイシグロ色が濃くなってるが、黒澤の「生きる」の本質が見事に継承されている素晴らしいリメイク。一つ一つのカットや演出の丁寧さが伺え、英国紳士の気品がストレートに表現できていて感動した。元々の>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

1.3

コーエンの劣化版。またカフカかよ。このご時世だからなのかもしれんが、いい加減おそれてる(救われようのない)ユダヤ人シリーズやめてほしい。ユダヤ人の聖母から生まれたJesus=ボーの受難描写がそのまます>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.7

世界が求める被害者=黒人のストーリーに嫌気が差している黒人作家。皮肉る意味で冗談で書いた白人迎合小説が大ヒットしてしまい困窮する話。サブプロットとして白人と遜色ない"劇的でない"リアルな黒人家族の日常>>続きを読む

由宇子の天秤(2020年製作の映画)

3.5

ドキュメンタリー女性監督が、ある学校内で起きた教師による性加害事件の真実を求めてテレビ番組を制作。その過程で、塾講師である父親が女性生徒と関係を結んでしまい少女は妊娠。社会の批判から逃れるために父親の>>続きを読む

僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)

3.0

東京から地方のキリスト教学校へ転校してきた少年とイエス様の露骨な邂逅。こんなに見えちゃったら信仰しちゃう。ジーザス相撲はさすがに笑うところだよな。親友を失って祈りまくるが実らず、自分都合の神様との別れ>>続きを読む

小さき麦の花(2022年製作の映画)

4.2

心が洗われた。現代中国における、社会において置いて行かれた側の男女のストーリー。貧しい農家の四男坊ヨウティエと障がいのある内気なクイインの清冽な夫婦愛の物語。2人には、これでもか、というくらい降りかか>>続きを読む

のら犬(2023年製作の映画)

3.3

ドッグってそのままかよ。ジャイアンとのび太的な田舎町の師弟関係。のび太に彼女ができて構ってもらえなくなったジャイアンが激昂する。のび太も長年支配されていたもんだから、その嫉妬心に答える。男ってくそめん>>続きを読む

対峙(2021年製作の映画)

4.0

高校銃乱射事件を起こした犯人の親と殺された親が密室で面会するワンシーンのみ。巧みなダイアローグとアングルの工夫で飽きないように編集されてる。日本だと子の責任は親に転化されがちな一方で、個人主義の欧米で>>続きを読む

憐れみの3章(2024年製作の映画)

4.1

RMF(Redemption,Manipulation,Faith)がマグガフィンとして大変機能していた。親切さ(kindness)と残酷さの境界はどこにあるのか。なるほどこの世から支配者がいなくなら>>続きを読む

シビル・ウォー アメリカ最後の日(2024年製作の映画)

3.6

サバゲー行った帰りに視聴。左右それぞれの末端にいるテキサスとカリフォルニアが結託している設定が絶妙だった。お互いを責めずに冷静な目でこの危機を体感できるように仕組まれている。世界中で大ヒットしているよ>>続きを読む

自由の暴力 デジタルリマスター版(1974年製作の映画)

3.5

ファスビンダー身体張ってんなー。ちんこショットの連続に心が震えたよ。単なる資本主義批判映画ではあるまい。
上流階級を目指して宝くじに当たった労働者の男が、工場経営者の息子に恋をし、同棲し始めるも、倒産
>>続きを読む

自由の幻想(1974年製作の映画)

3.5

脈絡なしの主人公チェンジすげー。ルールもへったくれもないね。これこそナンセンスの極み。価値観は時代で変わるけど、民衆を力で弾圧するのはナポレオンの時代から変わらないという感じに読めなくもないけど、それ>>続きを読む

デッドプール&ウルヴァリン(2024年製作の映画)

3.5

アメコミファン泣かせやな。しかし子どもには見せられない血みどろのしくじりヒーロー先生(俳優)勢ぞろい。人たらしレイノルズだからこそできたであろう奇跡的な18禁"ディズニー"映画になっていて驚いた。20>>続きを読む

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

3.9

フランソワ・トリュフォーが1959年に発表した長編デビュー作。カンヌを獲って一躍“ヌーベルバーグの旗手”として知られるようになった。子供にとって、家庭と学校が社会のほとんどを占める。そんな中で、複雑な>>続きを読む

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.5

鬼太郎見るの何年ぶりだろという感じ。昔の目玉の親父ってこんな高身長でクールだったんだな。昭和31年、親父率いる幽霊族とその血を使って不老不死の薬を売りさばいている人間の一族との抗争に、敗戦を経験した元>>続きを読む

中村屋酒店の兄弟(2019年製作の映画)

3.0

ふつう。認知症の母親の看病をしながら実家の酒屋を営む弘文の元へ実家に戻りたいという弟の和馬が東京から大金とともに帰ってくる。看護の疲労から母親を殺そうとするができず、結果的に母は病死する。残された二人>>続きを読む

エタニティ 永遠の花たちへ(2016年製作の映画)

3.2

彩度補正エグすぎる。産んで死んで産んで死んでの繰り返しに苦しむブルジョワ家の母親。映画前半は母親が味わう喜びと悲しみ。絶えず訪れる不幸や別れ。そしてささやかな幸せ。後半は一転して、娘が結婚し出産。そし>>続きを読む

欲望のあいまいな対象(1977年製作の映画)

4.2

とある女とやりたくてやりたくてしかたないのに、どうしても一線を超えられない初老のパパ活について。年の差50歳くらい。スペインでは1973年ブランコ首相が暗殺され、1975年フランコ死去で民主化移行期に>>続きを読む

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

4.0

夏休みなので。メタ・ループものの原点といえばこれでしょう。80年代から浮かれた日常に終わりがないことを客観視した押井守はさすがとしか言いようがない。これ以降ほとんどのSF作品はこの作品が放った命題の網>>続きを読む

WALK UP(2022年製作の映画)

3.6

監督は辛いよ。いつもの恋愛愚痴世間話のオンパレードだが、今回はホンサンス自身を投影しすぎてて笑った。4階建てのマンションが舞台で、章ごとに階があがっていくのが面白いね。妻と別れて娘と物件探しをする名の>>続きを読む

火の娘たち(2023年製作の映画)

2.5

クレヨール語の歌。これから長編にするみたいなんで短編ではなんともいえんな。バロック音楽バッハ以降複雑さが増した。対位法。極めて近いのがゴダールのモンタージュ編集。チェーホフ3人姉妹から着想。カオベルデ>>続きを読む

ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-(2020年製作の映画)

3.4

レッドネックって南部貧困層白人への侮蔑語なんだな。ドナルド・トランプの副大統領候補に選出したJDヴァンスの私小説が原作。なるほど、これを観るとなぜ白人中産階級たちがトランプに票を投じるのか理解できる。>>続きを読む

言葉の力(1988年製作の映画)

2.0

言葉の力というかモンタージュの力だな。当時は知らんが今見ても何とも思わんな。電話で発した言葉が振動として世界を宇宙を駆け巡る。溶岩映せばいいってものなのかな。短編なのに目が疲れた。