なすび

イマジン/ジョン・レノンのなすびのネタバレレビュー・内容・結末

イマジン/ジョン・レノン(1988年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

なにかを本気で追求するとき、荒波の中でもがきながら無我夢中で動いたその先に、スッと潮が引いたあとの海岸に、最もシンプルでほんとうのもの、そのような小さな石をえるのではないかと思う。ジョンレノンがつくった歌ももちろんその結晶だ、だからこそ人びとは彼の歌に惹かれて、何かを感じたり読み取ったりする。彼が意図したものではないにせよ、そういう力を持ちうるものであるということだ。

小学生のとき『イマジン』の歌をクラスのみんなで披露するという発表会があった。初期思春期を迎えた12歳たちにとっては、英語で歌うなんてこっぱずかしく、みんな全然のりきじゃなかった。やっつけ仕事みたいな感じで、片脚に重力を傾けて歌っていた。でも私はなぜかいつも何かをするとき適当にするということができない子だった。それに小学生の時点でジョンレノンもビートルズも聴いていて好きだったので、誰よりも本気で歌ったし、全身全霊で歌にのめりこんでいた。今思うとああいうことがすべて今の自分につながっていると思う。本気で求めたら、本物の何かを与えてくれる存在というのに昔から私は敏感で嗅覚がするどい、ほとんど神がかり的に、フィーリングでわかる気がする。

ジョンレノンの歌は、広くたくさんの人に聴かれ共感されたとしても、やはり最終的には最も彼個人的な作品なのだなと気づいた。当たり前のことかもしれないけど、彼以上に彼の歌に深くコミットしている人はいないし、彼以上に彼の歌から影響を与えられた人もいないだろう。ジョンレノンというイメージだけが世間では大きくなっていったかもしれないけど、彼自身はただひとりのまっすぐな人間だった。何かを本気で求めて、追求して、自分の手でつかもうとした人。つかめたのか、つかみきれなかったのかは重要ではない。40年間の人生の間、彼がしたすべてのことが彼にとって重要だった。

「僕は愛と平和を信じている。物事を肯定的に捉えている」

子どもショーンレノンの言葉すなおですごくすてきだった

「父が亡くなり数年は曲を聴くたび泣いてばかりいた。でも、もう立ち直ったよ。ただ、父がいないのはひどく寂しい。2人で出かけたり、遊んだり、話もしたい。父はギターを教えてくれた。僕はダメだったけどね。僕は父がいてくれるだけでいいんだ」


私はたまにオノヨーコのことが理解できる。よく分からないときもあるけど、たまにふと自分はヨーコみたいな女の人になれるだろうか?と考える。Loverという表現がすごく似合う人だ、そして私もLoverが似合うひとになる。
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