いろどり

豚小屋のいろどりのレビュー・感想・評価

豚小屋(1969年製作の映画)
3.7
社会の規範から外れた者の末路をパゾリーニ流に極端に描いてる。中世と現代1969年を同時進行させていて、現代のほうは分かりにくい。ヒトラーを思わせるチョビヒゲ父親はネオナチを表しているのかな。ブルジョワが豚を食い散らす。くさいものに蓋をする集団の特性も良く描かれている。そしてこの同時進行は、どんな時代でも変わらない社会の構図や人間の普遍性と言いたいようにも思える。パゾリーニが殺された事件は早々に捜査が打ち切りになったらしいけど、裏にはネオナチの存在が囁かれているとか。こういった描写の積み重ねも関係あるのかも。

常連俳優フランコ・チッティとニネット・ダボリが今回も良い役で出てる。特に、パゾリーニ作品において素朴な村人代表の役割を担うニネット・ダボリは現代パートにも出てて、あの純粋そうな可愛いお顔に会えるとホッとする。ヌーヴェルヴァーグの申し子ジャン=ピエール・レオはパゾリーニにも愛されてたのね。

荒野の裸は「テオレマ」のラストそのものだし、過去と現代のリンクは「アポロンの地獄」を思わせる。体が硬くなって動けなくなるのも「テオレマ」と通じていて、体制への無言の抵抗?見ていないけど「ソドムの市」にもつながっている模様。一貫した体制批判を壮大な叙事詩のように描くパゾリーニの美学。エログロ描写はないので安心して鑑賞できた。
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