Omizu

追想のOmizuのレビュー・感想・評価

追想(1956年製作の映画)
3.2
【第29回アカデミー賞 主演女優賞受賞】
『蛇の穴』などのアナトール・リトヴァク監督がマルセル・モーレットによる1955年の戯曲『アナスタシア』を映画化した作品。

この邦題じゃ分からんよ!!

ロッセリーニとのW不倫によりハリウッドを追放されたバーグマンの復帰作となった。ゴールデングローブ賞の主演女優賞を受賞、アカデミー賞では主演女優賞と作曲賞にノミネートされ、『ガス燈』以来12年ぶりに二度目の主演女優賞受賞を果たした。

てっきりメロドラマかと思っていたらガッツリ時代ものだった。バーグマン入魂の演技は流石スターといった貫禄。映画としてはなんとなく足りない印象。終盤が駆け足なのが気になる。

革命により皆殺しにされたロシア王家の末娘アナスタシアの生存説があったのは事実で、アナスタシアを名乗る女性がたくさんいたのも事実。このアンナのモデルは一番有名なアンナ・アンダーソンだろうか。

バーグマン、ユル・ブリンナーの演技はいいのだが、メロドラマなのか陰謀ものなのかサスペンスなのか、どの要素も今ひとつ足りない。メロドラマにしては二人が惹かれ合う過程が丁寧とは言いがたいし、サスペンスとしてはハラハラする要素があまりない。

もしかしたら本当にアナスタシアなのか、という含みは興味深いがあの終わり方じゃあね…

美術や衣装はよかった。駄作とは思わないが、リトヴァクにしてはスリルのない凡作。
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