キンキン

フィツカラルドのキンキンのレビュー・感想・評価

フィツカラルド(1982年製作の映画)
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 亡きオーディトリウム渋谷の35mmフィルム特集で見た一本。自宅で見るDVDと違って、実物を使った船の山越えは迫力あり、忘れられない作品となった。

 この映画が強く頭に残るのは、全てが本物だからだ。今ではCGやスタジオのセットを使えば難なく出来たとしても、山を削る作業の生き生きとした表情は現地に敵わない。映画でもあり、ジャングルの奥地に住む先住民族と共に一つ一つ乗り越えていく過程がドキュメンタリーにもなっていて、本作への印象を一層強く与えているように思える。

 DVD収録のコメンタリーで面白かったのが、これまで何度もタッグを組んでいるクラウス・キンスキーに苦労したと語るヴェルナー・ヘルツォーク監督。完成に4年の歳月もかかっている本作は多くの事故が起こるのだけど、監督はそれを「ちょっとした出来事」と語っており、それよりもヒステリーになるキンスキーをカメラ前に立たせるのはよっぽど大変だったようだ。ジャングルに住む先住民族は、殺したいほどうんざりしていたとか。
 それでも、この映画のラストにオペラが流れる中で長い葉巻を誇り高くキメるキンスキーの笑顔には、感動よりも深く沁みる。豪商に馬鹿にされたことにより痛快になるかと思ったが、そんなことは実現した男にとっては過去なのだ。
 フィツカラルドはこの映画を完成させた監督自身であり、彼が船で運んだ功績は妻演じるカルディナーレと共に私を笑顔にしてくれた。

 そうそう、この映画ミック・ジャガーが出ていたのね。
 鑑賞後、妙に「ピクミン」やりたくなるんだよなー。
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