BOB

モナリザのBOBのレビュー・感想・評価

モナリザ(1986年製作の映画)
3.7
ニール・ジョーダン監督のクライム・サスペンス。

ロンドン。ボスの罪を被り、7年の刑務所生活を終えたばかりの中年男が、高級コールガールのお抱え運転手となり、彼女の人捜しを手伝う。

"Haven't you ever needed someone?"
"All the time."

惚れた高級コールガールのために命を張る冴えない中年アウトローの悲愛ドラマ×ソーホーのアングラ世界を舞台にしたハードボイルドなノワール映画。

ニール・ジョーダン監督作品ということで、"性"が大きなテーマとして扱われている。ストーリーはポール・シュレイダー脚本の『ハードコアの夜』や『タクシードライバー』に良く似ている。

主演ボブ・ホスキンス(『ロジャー・ラビット』etc)が素晴らしい。冴えない中年男役がハマっていたし、感情豊かな演技で的確に心を揺さぶってきた。特に、この気持ちが報われないことは悟っていながらも、何とか相手の気を引こうと最後のアタックを仕掛ける埠頭シーン🩷🩷にはグッときた。

エレガントでクールな長身黒人娼婦を演じたキャシー・タイソンも輝いていた。淑女らしく振る舞い、深い心の傷を見せないよう努めているが、時折その一端が垣間見える。

ヴィランはSr.マイケル・ケイン。登場シーンこそ多くはないが、若い女性達を食い物にする金持ちゲス野郎役でさすがの存在感を放っている。これほどザ・悪役を演じているのを観たのは初めてかもしれない。

ストーリーの着想元になったというナット・キング・コール"MONA LISA"♪と、80年代映画らしいモンタージュシーンで何度も使われるGenesis "In Too Deep"♪。『クライング・ゲーム』同様、挿入歌が大きな役割を果たしていた。

霧が立ち籠める立ちん坊通りの妖美な雰囲気。エレベーター襲撃シーンにおける、らせん階段を巧みに生かした背筋がゾクゾクするようなスリル演出。主人公の旧友役には『ハリポタ』ハグリッド役のロビー・コルトレーン。

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