七沖

ハード・ボイルド/新・男たちの挽歌の七沖のレビュー・感想・評価

4.0
〝目がまわる!息がつけない!これがぶっちぎり酸欠ハード・アクションの決定版!〟
大きく出たキャッチコピーだが、恐ろしいことに全く嘘偽りないから凄い。煽り文句に恥じない、個人的に一番好きなジョン・ウー監督作品。

香港警察のテキーラは捜査の最中、潜入捜査中の警官を死なせてしまう。そんなある日、不穏な動きをする武器密輸組織の捜査を進めていく中で、組織に属するトニーという男と出会い…という感じのストーリー。

本作を超える銃撃戦メインのアクション映画を未だに知らない。
冒頭の飲茶屋、中盤の武器倉庫、ラストの病院での銃撃戦が見どころ。
まず飲茶屋。一般客を巻き込みながらの銃撃戦の容赦なさに目が釘付けになる。チョウ・ユンファが演じるテキーラが階段の手すりを滑り降りながら2丁拳銃をぶっ放すシーンには、ジョン・ウー作品の魅力が大体全部詰まっている!殺し屋役の國村隼がしぶとい。
そして武器倉庫戦。バイク集団が倉庫を襲撃するシーンは圧巻。テキーラもトニーも一発くらい当たってる気がする熾烈な銃撃戦が繰り広げられる。
最後に病院での戦い。冒頭の飲茶屋同様、一般人を巻き込みながらの戦闘に言葉を失う。敵にも一人義侠心に篤い男(滅茶苦茶強い)がいて、この男とトニーが撃ち合う長回しは、この映画屈指の名シーンだ。

ストーリーも個人的には結構楽しく観れたが、場面の切り替えが急なところが数カ所あってそこだけ気になった。あと、これは時代的な問題だと思うのだが、トニーのズボンがダボダボなのが格好悪い…。
とにかく欠点を全てアクションで補っている、凄まじい作品だ。

ジョン・ウー作品の特徴と言える白いハトは、本作では意外な形で登場する。それを探すのも本作の面白さだと思う。
七沖

七沖