アむーレ

未知への飛行のアむーレのレビュー・感想・評価

未知への飛行(1964年製作の映画)
3.9
衝撃の作品。
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米ソ冷戦時代、機械の故障により誤った指令を受け水爆を積んだアメリカ軍の爆撃機がモスクワへ向かう。モスクワへの核攻撃を命令された爆撃機は敵国側に真似されるおそれがあるため口頭での命令には従わないよう訓練されていて、大統領からの口頭命令にも応じない。コンピューターに頼りすぎた結果、コンピューターの故障によって取り返しのつかないことに。どうにかこの爆撃機を止めようとソ連とのやり取りをする大統領。モスクワに水爆が落ちれば数百万の人が死ぬ。大統領がソ連に示した誠意は、もしモスクワに水爆が落ちたその時には自らニューヨークに同じ水爆を落とすことだった…
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架空のストーリーではあるが、とてもドキドキした。
そして人々が何も知らずに生活する場所に水爆投下される瞬間を見てとてもいたたまれない悲しい気持ちになった。

機械が最上位に立ちその下に生かされている人間という構図も悲しいし、その結果簡単に多くの人の命が奪われる核兵器の恐ろしさ、そしてそのような武装をして牽制し合わなければならない世界情勢…宇宙から見れば我々は皆同じ人間同士なのに人類はなにをやっているのだろうという悲しさ。

この映画は1964年の映画だが、およそ60年も経とうとしている現代、これまで戦争は起き続けているし、今もなお悲惨な現実があり、将来起こるであろう火種もそこらじゅうにくすぶっている。
そんな人類への課題を風刺したような作品で、白黒映像ではあるが強烈なインパクトのあるストーリーであっという間の1時間41分でした。

犠牲になるモスクワやニューヨークに国籍をこえたかつての軍人の知人や、大統領夫人など、登場人物の身近な人を登場させていたのは良かった。爆心地となるモスクワとニューヨークの人々を政治家や軍人とかけ離れた存在ではなく、もし戦争になればあなたやあなたの大事な人も犠牲になり他人事ではないというメッセージが感じ取れました。
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