TaiRa

ロスト・イン・ラ・マンチャのTaiRaのレビュー・感想・評価

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映画作る人間にとってはこんな怖い映画ないだろうな。

『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』観る前にやっぱこれはマストかなと。『ドン・キホーテを殺した男』が完成しなかったメイキング映画。もうプリプロダクションの段階からヤバい状態なんだけど、ギリアムやスタッフから「『バロン』の時よりマシ」って発言が出て来てマジかってなる。撮影直前まで役者が現地入りしないとか、連絡取れないとか、どうやったらこの状況になるんだろう。カメラテストとかやって映像確認してる時のギリアムが子供みたいに楽しんでて良い。何とか撮影入っても問題が頻出。そうなると出て来る発言が「『バロン』の時と同じだ…」なの。よく『バロン』って完成したな。助監督がどんどん追い詰められてて不憫。「準備段階でどんなに問題があっても撮影に入れば勢いで最後まで行ける。ただ今回は…」と疲れ切った顔で言う。撮影2日目で嵐が直撃、砂漠の景色も変わっちゃって初日の映像は使えなくなり、撮影一週目で主役が腰痛で動けなくなる。もうギリアムがノイローゼみたいになってて可哀想。『ドン・キホーテ』という作品と重なる混沌っぷり。「正気に戻ったら死ぬ」作品を撮るのはマトモな状態じゃ無理なのかね。ギリアムのキャリアもこの一件がなかったらもう少し変わってたかな。
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