Nana

卒業のNanaのネタバレレビュー・内容・結末

卒業(1967年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

サイモン&ガーファンクルやっぱり好き。最高!
サイモン&ガーファンクルの挿入歌とラストシーンがなかったら正直言ってこの映画は観れないと思うな笑

初めて観たのは、たしか中学2年生のとき。
なんだこのひっどい話は!!ってぜんっぜんおもしろさがわからないどころか共感ポイント0だった。
でも大学を卒業して社会人になった今改めて観てみると、見方が変わっておもしろく感じている自分がいる。

そりゃあ内容がぶっ飛んでると思うことに変わりはないのだけど、ベンジャミンの気持ちや不安が手に取るようにわかる。すごくわかる。
楽しかった大学生活がもうまもなく終わる。卒論やら就活やらに取り掛からなくてはならない。就活のために将来何がしたいかを考えなきゃいけない。でも正直やりたいことがない、わからない。
それなのに周りから、これから何をしていきたい?どんな仕事をするの?などと矢継ぎ早に問いただされる。
挨拶を交わすように何の気なしに聞いてくる人もいれば、親密であればあるほど、その質問に少々期待が込められているような気がしてならなくて、どちらにしろウンザリしてしまう。
もちろん先方に悪気はないからこそ、そういう人たちに苛立ってしまう自分に嫌気はさすわ、不安に押しつぶされそうになるわで鬱屈した気持ちでいっぱいになる。

こんな経験をついこの間してきたばかりで、社会人生活がスタートした今だからこそベンジャミンの異常な行動が理解できないでもない。
鬱々としたベンジャミンの気持ちや親からの圧によって世界が小さく、視野が狭くなっているのを、小さい水中ゴーグルの視界で表現しているのもおもしろい。

そしてラストシーン。

二人を白眼視する乗客
目の前に一瞬にして広がる暗闇
思い切って飛び出したはいいが
私たちは一体どこに向かっているのだろう…
と、徐々に曇っていく2人の表情が秀逸だ。

私は安心してる人間が嫌いだ、人は他人の目の中に不安を見たいものだと三島由紀夫が言ってた。
だからと言ってはなんだが、多くの人がこのラストに惹かれる所以はそこにあるのだろうか。
サウンド・オブ・サイレンスもこの上なくマッチしていて、兎にも角にもこれは素晴らしいエンディングだと思う。

若気の至り感がすごくて、若さって危険だと思う反面、
エレインの「私には遅くない。」っていう言葉はなかなか鋭い反撃で、
年取るのいやだなぁっても思っちゃう笑
Nana

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