破滅願望にも似た感情をもった青年の行く末は…
この作品は所謂「アメリカン・ニューシネマ」と呼ばれるものです。
アメリカン・ニューシネマとは、1960年代後半から1970年代にかけてアメリカで製作された、反体制的な人間(主に若者)の心情を綴った映画作品群を指す言葉です。
詳しいことは割愛させて頂きますが、当時のハリウッドは黄金時代の終焉を迎え、夢と希望に溢れたアメリカン・ドリームではなく、若者の反抗を描いた作品が幾つか存在しました。この作品もその一つです。
ただ純粋に惹かれたのかもしれない。
しかし、その純粋な惹かれ方とは一体何なのだろうか?
顔や身体が良かった。地位があった。それらから生じる母性にも近い安心感があった。
惹かれた理由としては幾つか存在するかもしれません。
しかし、どの理由を選んだとしても、「愛」は存在しない。
目標を見失い、無気力にただ流され、居心地が良い場所に浸り続ける。
最後の行動にしても、「愛」ではなく「抑えきれない衝動」が爆発しただけに過ぎない。その衝動は、一見甘美ではあるが、遅効性の毒の様に徐々に心を蝕んでいく。