ヴぇる

卒業のヴぇるのレビュー・感想・評価

卒業(1967年製作の映画)
4.3
大好きな作品だ。

最初の1時間は時間を忘れて楽しんだ。
前半は笑いの連続だったし、何よりもミセスロビンソン役のキャサリンロスの艶めかし色気と言葉の数々はセクシーという言葉では表せない程魅力的であり、彼女で無ければ今作の素晴らしさはなかっただろう。

次に優れている点として撮影法である。場面転換や広角的な撮り方は芸術的だ。
お気に入りなのはドアを開けたらエレーナが水を飲むシーンだ。これも上手く計算され撮られている。
が、1番はズームインアウトだろう。非常に多くのシーンでこの技法が使われているがほとんどが効果的に使われており、声を上げる所がいくつもあった。まぁ裏を返せば使い過ぎとも言えるが…。

主人公に感情移入するのは中盤以降は非常に難しい気がする。ストーカーの様な形になってしまったのはもう少し何とかして欲しかった気もするし、彼自身が全編を通して欲望に走った結果の責任を全く負わなかったというのも気になった点だ。

がラストシーンで全てが降りかかってくる。正直ここまで最高の映画を撮りラストの車内での2人の表情の演技を持ってきたのは驚きでしかない。
あのまま終わらせてもある程度は名作として残るレベルだったものをラストに味付けし、夢から現実に戻った時の表情を写し切ったという手法は天才としか言い様がない。さすが映画史に残るラストシーンだ。

非常に高いスコアになったが、個人的に本当に大好きな1作だ。
ヴぇる

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