yu

ブロークバック・マウンテンのyuのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

数日かけてじわじわ首を締めてくる重たい映画だと思う。主演2人の自然すぎるイニスとジャック、淡々としてて説明はなくて台詞も少なめ。だからこそ後からじわじわくる。
同性愛を除けば数年越しの不倫に燃えるありがちな話なんだけど、この同性愛が時代背景と相まってどうにも切ない。
特にイニスはジャックと違って、同性愛へのトラウマから自分をも認めることができないのがまた切ない。そんな彼が路地裏で隠れて泣き崩れたり、再会を喜びすぎて迂闊にも家の前で抱き合ったりするのは、すごくいいシーンだった。2人とも口数は少ないけれど、あんなにそわそわいらいらしてたくせに「待ちきれずに車を飛ばして来た。お前は?」「さあ、どうだか」って答えるあたり、鳴かぬ蛍が身を焦がすってことなんだろうな。
ジャックの家族とイニスの関係や、牧場主のことを聞いたイニスの感情とかがよく分からなかったけど、意図して薄められてたと知って納得。すべてはあのシャツを際立たせるため。シャツはいいね、あのシャツは。お互い自分のシャツを上にしてかけてるのは、相手が自分の中にいるってことなのかな。
映画の中で20年の歳月が流れるのに伴って、観ている側もブロークバックでの日々がとても素晴らしかったものとして思い出されるのが、切なさを増幅させます。これだけ同性愛がミソだみたいに言っておいてだけど、この映画が伝えたいのはそれに限ったことではなくて、大切なものを認めること、自分自身を認めることだと思う(なのでただの同性愛映画だと敬遠せずに観てほしい)。そういう意味では、ラストはたぶん、苦しいけど、ハッピーエンド。
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