砂米

ブロークバック・マウンテンの砂米のネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

ジャックとイニスの会話の時はイニス視点で見ていたし、もし自分が同じ境遇になったらイニスと同じことを相手に言ってしまうような気がした。

最後の『あいつだけが俺の友達だった』という言葉が、あいつだけが永遠に愛した人だったというふうに聞こえた。

青いジャケットがジャック、白いシャツがイニス。
ジャックの家で見つけた時は、シャツの上にジャケットが羽織られていた。
最後のシーンのイニスのクローゼットでは、シャツが上に変わってた。それが死んだジャックのジャケットを包み込んで守っているように見えた。

一番気になったジャックの死因。
イニスのトラウマがフラッシュバックしただけと考えたかったけど妻のアン・ハサウェイが電話でイニスの名前を聞いた時の(ああ…この人か)というような表情と声色、そして素直に悲しめていない様子から事故死ではなくリンチが死因なんだなと感じた。
他のレビュアーの方が殺したのは妻の父親ではないだろうかと。私もそんな気がする。
ジャックの死因を曖昧にしたのは、あまりに辛い現実なので製作者側(原作者?)がぼかして、あえて観客の想像に委ねることにしたのかなと。

あまり説明文的な言葉がないので、二人の表情や行動で読み取る繊細さがあった。
イニスがジャックと出会ったことで、言われないと分からない難しさだけど徐々に変わっていったのが心に刺さった。本当にイニスはぶっきらぼうだよ。
娘の結婚式に出席すると言えたことにも心の成長が感じ取れた。

ラストのイニスの言葉「Jack, I swear….」は直訳すると「ジャック、俺は誓うよ」
その言葉に続く言葉、もしくは何に誓うかを考えさせられる深い言葉だと思った。
字幕だと「ジャック、永遠に一緒だ」と訳されているけど個人的には直訳のそのままの意味の方が好きかな。
時代的に、これから歩んでいくイニスの人生も茨の道。でも最後の言葉から彼が投げやりな人生を送るとは思わない。

同性愛ってなんで良くないものと考えられてきたのだろうか。聖書かな。
よく考えれば誰が誰を好きになったっていいし、逆に誰も愛さなくたって別に良い。
生産性なんてどうでも良い。その考えを人に押し付けないで。
人の人生や価値観に、他者がどうのこうのいうこと自体が間違っている。
海外の政治家が、同性愛を認めるかの議決会議みたいなので言っていた言葉を思い出す。
同性愛が認められたからって、別にあなたの人生が変わるわけじゃない。
同性愛が認められたからって、あなたが病気になったり山火事が起きるわけじゃない。
ただ空に虹がかかるだけ。
砂米

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