kazマックスグローバーレッド

アウトローのkazマックスグローバーレッドのレビュー・感想・評価

アウトロー(1976年製作の映画)
3.5
安定の山田康雄さん吹替版で再鑑賞。

南北戦争を背景に北軍の一隊に妻子を殺された農夫ジョージーが復讐を誓い南軍ゲリラに加わる。やがて戦争が終わり北軍が勝利し恩赦を与える口実で招集した南軍ゲリラを罠にはめて皆殺し。1人生き残ったジョージーは復讐と逃亡の旅に出る。

西部劇で描かれる南北戦争は「北軍(奴隷解放)=善」「南軍(奴隷賛成)=悪」だが主人公ジョージーは南軍の人間。かと言って奴隷賛成派でもなく北軍に家族を殺されたから復讐するだけの男。アメリカ建国200周年記念作品なので北も南も関係なく悪い奴は悪奴、過去には色々あったけどみんな一丸となってアメリカを一つにしようってメッセージが読み取れる。


イーストウッドといえば『ダーティーハリー』での歴代相棒はヒスパニック、黒人、女性、アジア人と全員当時のマイノリティ。『アウトロー』で旅に加わる仲間達はネイティブアメリカンの老人と女、白人の老婆と生娘、そして小汚い犬という過酷な西部では迫害を受けたマイノリティってのがイーストウッドの映画らしい。特にネイティブアメリカンを仲間として描くのは、「インディアンは白人に土地を譲らなかったからバチが当たったんだ」、「あんなイタリア製の西部劇に出てる奴の映画なんて偽物西部劇だ」なんて言ってたゴリゴリの右翼ジョン・ウェインに対するアンチテーゼのような気がします。


晩年の映画『グラン・トリノ』ではイーストウッドが歴代演じてきた様々なキャラクターが混じっていて「ツバ吐き噛み煙草キャラ」は『アウトロー』からだったのね。