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マッドマックスのMASHのレビュー・感想・評価

マッドマックス(1979年製作の映画)
3.5
『Furiosa』に向けておさらい。マッドマックスと言う偉大なシリーズの原点、ジョージ・ミラー監督の原点、そしてメル・ギブソン出世作。だが、多くの人が考えるマッドマックスといえば『マッドマックス2』や『怒りのデス・ロード』であり、1作目はそういう世紀末な世界観とはかけ離れている。だが、この1作目の唯一無二な世界観は興味深くもあり、何より低予算ながらも命懸けのスタントにはいつ観ても驚かされる。

でも、個人的には原点にして頂点とはならず。この映画が後世に与えた影響が大きすぎたのと、ジョージ・ミラー自身がシリーズを大幅に進化させたきたせいで、1作目の未完成な世界観というものが気になってしまう。舞台が近未来という名のオーストラリアのど田舎というのはしょうがないにしろ、マックスはクライマックス以外は非常に面白みに欠けるキャラで、暴走族たちに喰われている。ストーリーの動きも滑らかとは言えず、ターニングポイントとなる事件が起きるたびに、映画のジャンル自体が変わっていくような、妙な違和感がある。

だが、ラスト20分は圧巻だ。マックスが復讐の鬼に変わった瞬間、ラストに向かって物語はインターセプターと共に一気に加速していく。唸るエンジン、命懸けのカーチェイス、暴力に次ぐ暴力、復讐に囚われたマックスの狂気。それまでうまく噛み合ってなかった歯車が高速で動き出す感覚。ラストの大爆発からのメル・ギブソンのあの眼はまさにマッドマックスと言う唯一無二のシリーズの始まりを告げる最高のシーンだ。

今観ると正直ダレる部分も多く感じられるが、そこも含めて以降のシリーズでは感じられないカルト作品感も楽しめる。「低予算&監督デビュー作とは思えない!」と言う訳ではなく、低予算&監督デビュー作だからこその面白さが感じられる作品。

ちなみに今作は20年もの間「製作費と興行収入の差が最も大きい映画」として君臨していたらしい。確かに低予算ではあるが、まさかそこまでだったとは…

2回目 3.5点
(2024年5月25日 Prime ビデオ)

1回目 3.5点
(2016年4月9日 Blu-ray)
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