Yoshishun

エド・ウッドのYoshishunのレビュー・感想・評価

エド・ウッド(1994年製作の映画)
4.3
史上最低の映画監督と称されるエド・ウッドの伝記映画。劇中で扱われるのは、監督デビュー作となる『グレンとグレンダ』、史上最も怖くないホラー映画『怪物の花嫁』、史上最低の映画『プラン9・フロム・アウタースペース』までである。

本作は映画製作の才能は全くなかったものの、情熱だけは人一倍あった監督が、才能と情熱があっても時代に見捨てられた名優との交流を経て、最高の映画を完成させようと奮闘するノンフィクション作品。監督ティム・バートン×主演ジョニー・デップという黄金タッグによる娯楽作だが、明確にファンタジー映画としては描かず、白黒や序盤のナレーションなど、監督愛溢れる演出に感動した。

また主演のジョニー・デップをくうほどの圧倒的な存在感を見せたベラ・ルゴシ役のマーティン・ランドー。実際の作品に出演していた時のルゴシにかなり似せており、劇中で使用されたカットは敢えて本作のために撮影されたシーンを用いていながら、本人さながらの名演だった。

本作はジョニー・デップ演じるエド・ウッドの自由奔放な映画製作および実生活を面白可笑しく描いていながらも、往年の名優ベラ・ルゴシの苦悩も描いている。全編白黒なのもあり、よりルゴシの表情を注視することができる。エドのいないシーンではほとんど笑顔を見せないため、よりエドの必要性、エドとの絆を強調している。それがあの突然のクライマックスに繋がると思うと、かなり心苦しくなる。それでも映画を撮り続けるしかなかったエドは撮り終えることを優先させるなど、自分流を突き進んでいくのが清々しい。

エドの人生が最早映画的だが、敢えて名優ルゴシとの交流に重点が置かれたのもあり、ストーリー自体は広がりを見せることはない。ただ彼の実話を白黒映像、実際に行われた演出で描くとこうも生き生きとしてくるのは非常に有難いことだ。

もう一度いうが、いきなり本作を観ることは薦めない。できれば、前述の3作品を鑑賞、もしくはどんな映画かを調べてから観ることをお薦めする。
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