杏

変態村の杏のネタバレレビュー・内容・結末

変態村(2004年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

邦題から、グロくて不条理なホラー映画を期待してたけどそういう映画ではなかった。 ちょっと笑ってしまうような、不気味で簡素な愛の映画。巻き込まれた主人公のマルクさんは、無個性ゆえになんとも感情移入できない。村人や冒頭老人ホームの人々といった、世間から隔絶されて奇妙に見える人間達の方がずっと可愛いし、本当に中々いい映画だった。 音楽がほとんどない中、バーの変なピアノ演奏で踊るシーンが印象深くて楽しい。 フランソワ・オゾンとか好きな人は好きかも。ヨーロッパの『雰囲気映画を見た~』て感じになりたい方にはおすすめ。 ジェットコースターみたいな展開でどんどん人が死ぬような話が好きな人にはまった向かない映画です。 クリスマス・ディナーのシーンは「悪魔のいけにえ」の食事シーンに影響を受けてるとか。あくまでホラー映画でありたい監督の気持ちはメイキングを見なきゃ伝わってこないな。 DVD特典映像についてる「ワンダフル・ラブ」は同じ監督の短編で「変態村」とは関係ないけどこちらも必見。 「乱歩地獄」の「蟲」の性別逆版のような話だったけど、うらぶれたヨーロッパのどっかの街のなんか変な話ってとこで、一応ラブストーリーらしいが「変態村」と同じく謎だけど不愉快さはほとんどない。そしてちょっと笑える。 タイトルに騙されて見てみたけど、中々掘り出し物で得した気分。これだからホラーのコーナーにある微妙な映画を見るのはやめられない。
杏