イチロヲ

恐怖の足跡のイチロヲのレビュー・感想・評価

恐怖の足跡(1962年製作の映画)
4.0
自動車事故から奇跡の生還を果たした女性が、不気味な黒服の男に付け狙われてしまう。1960年度「サイコ」と共に、恐怖演出の礎を築いたと言われている、エポックメイキング的なホラー作品。

主人公の女性は、自動車事故で生死の狭間を彷徨ったことにより、虚実が不明瞭なトランス状態に陥ってしまう。恐怖心を誇大化させて、強迫観念の連続に縛られて、自分の脳内に悪魔の観念を創造させていく。

行ったことのない場所を訪れたとき、見知らぬ人物と接近したとき、服を脱いで無防備な姿になったときなど、日常に潜む「恐怖」を片っ端から反映させている。あらゆる場面において、「そうそう、こういうときに恐怖を感じるよなぁ」と思わせられる。

「人間の恐怖心は、どこから発生するのか?」「なぜ人間は幽霊(または悪魔)の存在を創ってしまうのか?」という、脳科学的な視点からの鑑賞が興味深い。
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