恐怖の足跡の作品情報・感想・評価・動画配信

「恐怖の足跡」に投稿された感想・評価

田中元

田中元の感想・評価

3.3
何年か前に町山智浩『トラウマ映画館』で紹介されていて興味を持ち観ており、今回は昨日観た『インシディアス第2章』で一瞬本作の映像がテレビに映るのに気付いたので再見。が、前回は字幕なしの輸入DVDで観たためかラスト数分のイメージ以外ほぼまるごと覚えていなかった(今回は著作権切れ映画を集めたらしきYouTubeチャンネルで機械翻訳日本語字幕付きでの鑑賞)。おかげで頭の方の夜道を車で走っているときのドッキリ場面でちゃんとドッキリできたのですが、全体的には出来が良いとは言い難い。とはいえその後の数々の作品に影響を与えるのもわからなくはなく、『トラウマ映画館』に挙げられているタイトル以外にも、例えばコニー・ウィリスの小説『航路』もそうなんじゃないのかな?と思いました。
A very well made film. 不穏で不気味で面白かった
mugcup

mugcupの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます


カルト映画祭りになってるな

「魂のカーニバル」
そのままの邦題の方が良かったんじゃないかな

自分の存在が揺らぐ不安
精神が侵されていく恐怖
彷徨える魂が帰結するまでの不条理劇場が
観るものを惹き付ける
この時代にこのラストは本当に驚きだったんじゃないかな。
この日は同劇場で2本立て続けに観るんだ!と意気込んでいたものの、前作品が強烈すぎて疲労感すごかったけども、身体が勝手に発券場へ行き、無意識にチケット購入。生きる屍ですな。

そんな訳で、伝説的なカルト作品!カルト作品の原点!ホラーの始まり!などと称されているこちらを鑑賞。
映画界に於いても、すごい作品らしくて、こういう作品を上映してくれる劇場へ感謝しかありませんね。

まず思ったことは「これって60年代の作品なんだよね?」ってくらいに新鮮。
古臭さはあるし、低予算だろうし、特殊メイクなんてそんなないだろうし、特殊映像技術なんてないのは分かっているけども新鮮なんだよ。

芸術的な美意識があるし、独特なリズム感(進行速度は遅いです)が新鮮だし、不安を感じさせる映像に、お美しい主人公を映えさせる妖艶な世界観に対する暗黒面、しっかりと伏線回収していくあたりといい、これは後の有名監督さんたちがお手本にした訳だわと納得するくらいの世界観とつくりこみ。
よう分からんけど、この製作チーム、当時だと遥か先を見据え過ぎた人たちの集団だったんじゃねのってくらいに飛び抜けているのが、バッシバシに伝わってくる。

あと奇跡的なのが、極力説明(こういうことなんだよって提示してくるやつ)が無いんだけど、理解できるし、1番美味しい状態で最後まで繋げていくところ。
普通、こういう系のって自己満足作品だったり、四方八方に行きすぎて収集つかなくなる、どう捉えるのかはお前らに任せたで(まとまらなくてそうせざるを得ないようなやつ)、になりがちなんだけど、本作はそうはならない。
なにを観ていたんだ、、とはなるけど、それが心地よくて不思議なやつ。
現実でもなくて、非現実でもなくて、その中間を彷徨っている感じが奇跡的。

夢心地で非現実的な作品を観て腹一杯になって、銭湯行ってサウナ入って、充実した休日過ごせたわと大満足していたら、次の日は月曜日。
私の世界では、月曜日からフルスロットルで始まるので、余韻は残りつつも、疲労がもう来て、はよ週末にならんかなっと思いながら無表情で働く日が始まりましたとさ。
交通事故に遭い友達を失った主人公は新天地でやり直そうとするが奇妙な男を見かけるようになり…何も聞こえなくなり誰からも見えていない怖さ。台詞も少なく独特すぎるテンポで次なにが起こるのか予測不能でこっちまでイカれる一歩手前の精神状態にさせてもらえた。最高の悪夢体験。

あのね、ふつうに怖い。もう一回言うね、これは、ふつうに、怖い。

白黒ならではの怖さに加えて時折混ぜ込んでくる早送りが非現実感や悪夢感を増幅させていて怖い。カルト作品でずっと観たかったのでやっと観れた感動と期待以上すぎてマジ家宝。怖い演出ってやっぱシンプルが一番なんだなって思った。

ゲラな人って想像力によってさらに笑いを足しちゃうからよけいに笑っちゃうように、怖さもそうなんじゃないかと思ってて、見せすぎないほうが想像力が働いてもっと怖くなるよなと。得体が知れないってほんとに怖い。

なんなら究極、怖くしようとしてないのに怖くなっちゃってるのが一番怖い気がする。こういうの大好き。デッカいスクリーンで(とはいってもミニシアターくらいがいいかな?)観てみたいな〜映画館でのあの知らない人との独特な密室感で観たら怖いだろうな〜
AKIRA

AKIRAの感想・評価

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ラストに、ドキリとする。綺麗な伏線回収だ。
後半に入ったあたりで、主人公の女が教会でオルガンを演奏している際に訪れる幻覚が彼女の現実へと徐々に侵食し始める描写のなめらかな挿入は違和感がなく、高度な技術を感じたし、全般を通して幽霊が登場する際の速いカットにも驚かされる。
女の幻覚に現れる幽霊達は雑な特殊メイクが施されているのであろうが、モノクロ時代だからこその良きホラーとして逆に味がある。幽霊達のコミカルな走りや動きにも奇妙さが演出されていて不気味さも感じさせられた。
ryosuke

ryosukeの感想・評価

3.8
開始早々、狭い橋の上に車が並ぶとあまりに呆気なく柵が壊れ、車は水中に吸い込まれていく。人命を飲み込んだ水面は平然として表情を変えず、流木に沿ってクレジットが斜めに表示される。この低予算短尺B級ホラー特有の命の軽さ。現実世界ではとにかくその重さが強調されがちな人の命を軽々と放り捨てる快楽がある。「サイコ」のように車が引き揚げられる代わりに、泥だらけの女が忽然と現れ、こちらに歩いてくる。どうやって彼女が脱出したのか、何故湖沿いの廃墟に惹かれるのか、謎の男は何だったのかという疑問に一切答えず進み(それ故、怖がっている側のはずの主人公にも不気味さが付きまとう)、そのまま終わっていく不条理な感覚が良い怪作だった。
窓の外に現れる謎の男の顔には濃厚な悪意、殺意は感じられず、むしろどこかコミカルな印象もあるのが逆に不気味。車内を覗き込む表情にインパクトがある謎の男は、監督ハーク・ハーヴェイが自ら演じているようだ。車の窓に張り付く霊の顔ってのは今では定番だろうが、この時代はどうだったんだろうな。続いて挿入される闇の中に立ち塞がる男のショットは、現実の光景というよりは抽象的な恐怖、不安そのもののようであり、それを避けようとした車は再度道を逸れる。
リンチの「ロスト・ハイウェイ」への影響も言われているようだが、霊と言うにしてはあまりに確かな存在感のある、遍在する謎の白塗り男は「ロスト・ハイウェイ」のミステリー・マンそのままだな。
教会のオルガン奏者をしている主人公だが、彼女はあくまでそれを仕事としか考えていないということが強調される。この辺りの描写は、彼女を襲う不可解な出来事が信仰心の欠落に由来するのだと示唆されているようにも思う。その上、彼女は誰とも親しくしたくないという、主人公としてはかなり特異なパーソナリティーを有している。キャンディス・ヒリゴスは他作品にはロクに出演していないようだが、大きな目と骨ばった顔の美形は(例えばバーバラ・スティールのように)ホラー映画ヒロインに相応しいものだった。
彼女が廃墟に向かうシーンの、人も車も通らない道を自分一人が乗った車で進んで行き、誰もいない広々とした廃墟を彷徨う様子は、自分しか存在しない彼女の主観的世界を象徴しているようだ。突如スロープを滑ってくる布団や、だだっ広い空間を歩くヒロインの影が長く伸びる様を巨大なシャンデリア越しに捉える大俯瞰など、この廃墟は魅力的な空間として切り取られていた。
謎の男がどこまでも付き纏う恐怖を、シチュエーションを変えながら繰り返して進んでいくのかなと思っていたら、これが突如転換するのが試着室のシーンである。主人公が不穏な予感を感じて試着室から出た瞬間、世界から音が失われ、自分の姿も誰にも見えなくなっている。この辺りから、外部から怪異に襲われているのではなく、彼女の精神世界が丸ごと変質しているような感覚になってくる。
オルガンを弾く彼女の幻想として、おそらく廃墟になる前の過去のダンスホールの光景が重なり、早回しでクルクルと回転する人々を見ていると、謎の男が不気味な悦びを露わにした表情を見せ、幻想の中で遂に明確にこちらをターゲットとして迫ってくる。
車の修理工場のシーンで、持ち上げた車を下ろすためのハンドルを回す謎の男の手が挿入され、車がゆっくりと下がっていく描写。「フェノミナ」で車椅子を下降させ殺人鬼の元に送っていく装置などもそうだが、動き出してしまった機械によって恐怖の対象の元へと運ばれるという描写は、抗えぬ運命の恐ろしさがあって好きなんだよな。
自分の声が他人に届かない恐怖を感じた主人公は、反対に家主の声が聞こえないかのように無反応で去っていく。どうやら主人公の世界は限界が近いようだ。続いて、またもや音のない世界に迷い込む彼女。神や他者との繋がりを拒否した彼女に対して、世界の側も彼女との繋がりを拒否し始めたかのようだ。その世界で、代わりに彼女と接続してしまうのはこの世ならざる者に他ならない。音のない世界で唯一バスへの乗車を呼びかける音声が聞こえてくるなら、それはこちらの世界の乗り物ではない。バスを大量に埋め尽くす白塗りの人々がこちらに迫ってくるシーン。ロメロへの影響が言われているらしい本作だが、どこら辺かなと思っていたら、何とそのままゾンビの原型じゃないか。
世界から遊離してしまった彼女にとって、この世界のルール、科学を語る医者の助けはもはや間に合わない。医院に駆け込んだ彼女の話を背を向けて聞いている男が振り返ると、大方の予想通りアイツの顔が現れる。
理由は分からないがとにかくキーポイントとされている以上、この物語のクライマックスは廃墟に向かうしかない。主人公は、ダンスホールで謎の男と自分が踊っている決定的な瞬間を見てしまう。あちこちから現れる白塗り人間たちのコミカルなおふざけ感が逆に怖い。ゾンビの源流を感じさせるとはいえ、彼らは素早く走ってくるのだが、手を前に伸ばしながら彼女を追い詰め、真上を向いた主人公の主観ショットでカメラを覗き込む白塗りが画面を塞いでいく瞬間など、ゾンビ映画の文法と言ってよいだろう。
そして、彼女の肉体は忽然と姿を消してしまう。世界との調和を拒んだ彼女には、遂に肉体すら不必要だと看做されてしまったのだろうか。車の中に現れる死体を見て、最初から死に際の悪夢だったと考えるのはつまらないように思う。むしろ、神と、他者と、世界と接続するチャンスをふいにした主人公は、遡及的に「死んでいた」ことにされてしまったのだと考えたい。
sugim

sugimの感想・評価

3.8
自分がリンチの映画を観るときに感じる“リンチっぽさ”の一部が此処に…!
ヒロインは他人を恐れているけれど、他人にとっての彼女もまた恐るべき他人の1人であることを突きつけるかのように親しくなりかけた人々が彼女に冷たくなっていくシーンがとてもつらい。
さっ

さっの感想・評価

4.5
これほど孤独な人物を映画で見ることができるとは思わなかった。他人どころか世界そのものから分厚い圧縮空気の壁で隔離されてしまっている(一体誰によって??)あの感覚はよくわかる。何より主演の女性の目が、気取りではなく本当に孤独な人の目だと思った。敢えて言えば、名画座で見かける(一部の)シネフィル(の男性)の目。悪霊も好きだが、あのものすごい〈不感症〉を再現してみせてくれたところに感動した
正に奇想天外!(リプライズ)

川への転落事故から奇跡的に生還した美女が、白塗り野郎(ドラマ「ボイスⅡ」より←黙れ)に付き纏われるようになる。
幻覚なのか、心霊現象なのか…。

なんたって美人がすぎるな!ビビるほど美人で、ストーリーそっちのけで顔の造形を凝視してしまった。

邦題があまりよくわからなかったけど(ラストのとこの話?)、後半に訪れる、原題通りのカーニバルでの謎のワクワク感が楽しかった。
結局…??とはてなを残されたけど、そういうことでいいんですね?

直前に観た「赤い唇」より古い作品なのに、映像がとてもキレイだった。
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