このレビューはネタバレを含みます
白か黒では測れない。
その人の人となりも白か黒かでは測れない。善人か悪人かで分けられない。
昔からホラ吹きで、口八丁手八丁。連続香典泥棒をするような兄が、私たち家族を救おうだなんて、するはずがないじゃない。
正義感が強く、真っ直ぐな妹はそう思った。私は正しい、兄は真っ黒に染まっている人なのだと。
その確信は蛇苺によってほろ苦い後味を残すこととなる。
ホラ吹きの少年がいざという時には真実を語ったように、常時嘘をつき続けるような人でも真実を口にする時はある。
人を騙して金を盗む。そんな人の心にだって、家族だけは見捨てられない。
そんな気持ちもあるかもしれない。
白か黒か、100%善人か悪人かで測れないし分けられない。
だからこそ人間は面白く、複雑で、難しい。