蛇イチゴの作品情報・感想・評価・動画配信

「蛇イチゴ」に投稿された感想・評価

2021年15本目
世の中はデタラメでできてるのかな。でもそのデタラメによって守られてる現実もあるし、デタラメの中に真実もある。
歌代

歌代の感想・評価

5.0
え、、、これが西川美和監督デビュー作…!?

もうとにかく無駄がない!
『ゆれる』初見時にも思ったことですが、自分が映画に求めている表現が全てある!
間を開けずに2回連続で観た作品、もしかしたら初めてかも。

雨上がり決死隊・宮迫さん演じる兄は人々に誘惑をし続ける悪魔のような人物として登場します(超ハマり役!)。

主人公は正しさを軸に生きているので必然的に兄と対立します。
(しかし2回目、主人公の中の正しさが孕んでいる排他的な性質が序盤から見えるというのがまた凄い)

自分の大好物『兄弟関係』『家族の役割意識の崩壊』『知らなかった一面』の3つが揃い脳内はフィーバー状態。最高です。
「何でもあんたが思うのが、一番正しいんでしょう」

蛇苺、如何にも毒がありそうな見た目と名前なのに、無毒な植物。
正しい妹と嘘つきの兄と家族の話。

西川監督の新作がもうすぐなので全部観返そうと思った。
初めて観たのは20代だったと思うけど、
その時どう感じたのか残しておけば良かった…恐らく、もやっと不安を抱えて終わったように思う。
昔は妹の倫子のように自分が正しい良いと思う事は他人から見ても良いに決まっていると信じていた。今では親や兄側の感情の方が理解できる、正しさの為に兄を警察に売った妹を異質に感じた。

初見も印象に残ったけど、小川のシーンが好き。
「行けないよ」というセリフ、そこを渡ってしまったら元の自分には戻れない。怖い、でもそこを渡らないと見えないものが沢山ある。
私はもう20代の間に渡ってしまった。だから昔の自分がどう感じていたか思い出せない。でも知った後の方が、安堵がある。
正しさも、嘘も、どちらも存在していて良い。どちらも本当。
監督の映画はやっぱり観る度にそう言われているような気持になる。だから好き。


20代でこんな人間関係を俯瞰で見ることができ、脚本を書いてその上、人柄が滲み出ているぴったりな役者を配役し、映画を撮る。監督が一番怖い。
蛇イチゴを見た妹はあれからどうなるのかな。
TMDiary

TMDiaryの感想・評価

3.0
①役者
つみきみほ。真面目そうな声が独特でよい。
②演出
たまに出てきたスローモーションはコメディ路線か?と思わせるほど変だけど、ラストシーンを印象的にするのはこの頃からあったんだな、と。
性格の異なる兄弟がきれいな自然の中にいる風景は、後の「ゆれる」につながるものがあった。
③総合
西川美和監督が得意としていると思われる登場人物の本心が分かりづらいおもしろさ、というのはこのデビュー作からすでに垣間見えていて、兄(宮迫博之)の行動は本心か嘘かははっきりとは描かれない。蛇いちごの話が真実であったとしても、家族をどうしようとしたか、本心は分からないまま終わる。
このへんの描き方はやっぱりこの監督おもしろいのだけど、そこはまだデビュー作ということで、後の作品のように全編を通して行動に疑問を持たすというようなことはなく、最後にあれ?と思わせる程度。きっとこのデビュー作は全くそんなおもしろさを目指していなくて、これをきっかけにそこを描くことに特化していったのかなあと勝手に思う。
というのも、垣間見えるシーンがあって、金魚の飼育係の男の子(染谷将太なわけだが)は本当のことを言っているのか、嘘をついているのか分からない描き方をしていておもしろい。このへんが後々につながっていったのかな、と思う。
本心が分かりづらい人(兄)をみせるための対比として、分かりやすい人(妹)がいる構図も後の作品につながるもので、妹(つみきみほ)は母をして「つまらなくて息が詰まる」と言わしめるほど正しい人間。今回は立場としては絶対的に妹が正しいのは間違いないのだけど、人の本心は分からないし、行動は一通りではないということも理解しないといけないと伝えている。きっと彼女は飼育係の真実も見抜けていなかったのだろう。
「すばらしき世界」楽しみです。
Aimi

Aimiの感想・評価

5.0

このレビューはネタバレを含みます

白か黒では測れない。
その人の人となりも白か黒かでは測れない。善人か悪人かで分けられない。

昔からホラ吹きで、口八丁手八丁。連続香典泥棒をするような兄が、私たち家族を救おうだなんて、するはずがないじゃない。
正義感が強く、真っ直ぐな妹はそう思った。私は正しい、兄は真っ黒に染まっている人なのだと。

その確信は蛇苺によってほろ苦い後味を残すこととなる。

ホラ吹きの少年がいざという時には真実を語ったように、常時嘘をつき続けるような人でも真実を口にする時はある。
人を騙して金を盗む。そんな人の心にだって、家族だけは見捨てられない。
そんな気持ちもあるかもしれない。

白か黒か、100%善人か悪人かで測れないし分けられない。
だからこそ人間は面白く、複雑で、難しい。
全てが嘘に塗り固められてる

絶妙なタイミングで音楽が流れて、辛気臭さを一蹴してる。宮迫が若い。
日本人を表現するの上手すぎる。
時番人

時番人の感想・評価

3.8
新人の女性監督でなかなか気骨な作品…ときいて当時観たような。宮迫さん演技できるんだーと心底感心したなぁ。そして、大阪人としては宮迫がへびいちご(宮迫と同期の漫才師)って!とつっこみつつ観た。

人は表裏あってバランスがとれる。そんなお話。
navy

navyの感想・評価

-
冒頭のトラックアップからの役者につけてるの自然すぎて画角?が変わってるの気付かない。トラックアップもゆっくり自然で止まりを感じない。動き出しだけ。ワンシーン、ワンカットいい。

カット数が少ない気がする。監督の割なのか、カメラマンなのか。とてもいい。

食卓の同じような画なんだけど引いたり寄ったりで絶妙に心理描写が効いてる気がした。

綺麗な画が多かった。山の兄弟の引き画とかすごく綺麗だし、冒頭の実景とかFixで真ん中足から入って犬来てとか、尺感とかも最高に好きだった。

西川さんなのか山本さんなのか。

でもきっと山本さんは頭がいいんだろうな。インタビュー読んだことあるけど、失礼ながらちゃんと考えてる、考えられているというか分からんが。

個人的にはあのパラサイトのような、山本さんで言ったら三池組のようなホラーカットのようなものは個人的に好きでない。

平泉さんの飯後のスーツ着る所作、完璧だったなー。ディンプルとか袖出しとか。

手塚とおるさんはご自身の中身がそうなのか、芝居なのか分からないけど不気味さがすごい。最初の登場時から感じさせる。

章子(大谷直子)が最初あわててお父さん(笑福亭松之助)を助けた時に、自分の頭の中で「もしこのまま知らんぷりをしたら生活が楽になるのでは。でもそれをしたら結果罪悪感に潰されてしまうか。逆に地獄の人生になるのか」と自問自答したし、その後に倫子が教え子に「嘘をついたらずっと嘘をつかないといけなくなる〜」のようなセリフで「確かにな〜」とか思わされつつ、その台詞がすごくその後にリンクしていくし、気付けたというか気付くように導かれていたのだろうか。でもあの男の子が嘘をついているかいないか分からないふくみがいいな。

やっぱり西川さんは着眼点というか題材が本当に素晴らしい。素晴らしい!

自分ならこういうの撮りたいな〜みたいなのが表現されていて好き。足元にも及ばないが。でも自分と価値観が似てると言ったらおこがましいが、そんな作品をみられるのが幸せ。ホントにハズレがない。全部良作。

眠い寝る。
のぐち

のぐちの感想・評価

4.3
「ゆれる」「永い言い訳」と続いての西川監督の作品鑑賞。
デビュー作とは思えない完成度で、人の狡猾さや嘘を撮るのが上手いなぁと改めて思った。

夜中に暗い部屋で1人で観たくなるような、心がザラザラする作品でした。

※宮迫がハマり役で良い味出してた。
eda

edaの感想・評価

3.5
『ゆれる』がすきなのと、出演者の宮迫がYouTubeで作品について触れていたので興味が出てきて見た
この監督の作品は、作品上で答えを出さないのがおもしろいのと、人間の描き方が絶妙に人間臭く、弱いところをガンガン出してくるのがすき
実際こんな人間ばっかりだったら絶望してしまうが、でもいそう、というところを突くのがうまい
完全な悪人を出さない
ただ、描き方がマジで人間の弱いところ、つい出てしまう汚いところにスポットが当てられるので、何度も見返したいと思う体力が私にはない
まだこの人の作品の中で、私が一番なのは『ゆれる』かな、と思った
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