蛇イチゴの作品情報・感想・評価・動画配信

「蛇イチゴ」に投稿された感想・評価

raintree

raintreeの感想・評価

4.0
映画監督のことを僕は平均よりも少なくしか知らないほうだと思っているのですが(たぶん監督論として自分なりの言葉にできるのは100人程度)、その少ない認識のなかで、今の日本映画の最良の成果と難しさを同時に表し得ているのは西川美和しかいないように思っています。

初めて西川監督のことを知ったのは、本作が公開された2003年から少し経ってからで、これが才能なんだと衝撃を受けたことをよく覚えています。もちろんその頃も、仕事や自発的な表現行為を通して(自分にはない)様々な才能があることを数多く経験していましたが、それがなんであれこれほどの質感を僕が手にすることはきっとない。凡庸さのなかに生きながらも、圧倒的な才能に触れることの感覚をそんなふうに知ることになりました。

表面的にこの映画をなぞってみるならば、どこにでもある平凡な家庭の裏事情であり、その風景のなかに見え隠れする、愚かさ、弱さ、罪、空恐ろしさなどになるでしょうけれど、僕の胸を深く打ったのはそうした「映像としての現象や象徴」ではなく、西川美和という1人の女性の身体性から立ち上げられた、嘘偽りのない心象風景の鈍さや鮮やかさでした。

そして彼女にとって初監督作となるこの『蛇イチゴ』に真に描かれているものは、上に述べたような家族模様ではなく、若い女性たちがみな通過儀礼のように体験することになる「喪」のような心象風景だろうと思います。またここにこそ、西川美和作品の最良の点が表れているはずです。ラストシーンに描かれる森のなかでの兄妹の姿は、その鮮やかさと鈍さのうちに、深い喩(ゆ)をたたえているように感じられます。

ですからその周波数バンドはかなり狭いものです。しかしながらこれは20代半ば以上の女性たちが、もしも様々な偽りを捨てることができるなら、そして深く自身の心と体を見つめるまなざしを持ちうるならば、皆が知っている感覚ではないだろうかと思います。妻への関心を通して男である僕にもそれがよく分かりますし、むしろ男であるからこそ明瞭に見えているのかもしれないとも思います。

またその狭い帯域のテーマを優れた表現で描ききれたなら、それは壮大なテーマを宿しているように見えながら何ひとつ描けていない作品のなかで、燦然(さんぜん)と輝く作品となり得るはずですし、またそうした経路を取れることは才能という他ありません。フランソワ・トリュフォーが『大人は判ってくれない』(1959年)で描き出したものに匹敵する感覚がこの映画には宿っている。

いっぽう2016年に公開された『永い言い訳』については、壮大なテーマを宿しているように見えながら何ひとつ描けていない作品になってしまっているように思い、僕のなかでの評価は世評と逆行するラインを描くことになりました。そのため最新作『すばらしき世界』(2021年)を僕はまだ観れていない状態ですが、本作を含む『ゆれる』(2006年)から『ディア・ドクター』(2009年)までの3作品については、間違いなく純粋な才能の成果を観るような思いがします。

そして彼女が示すこの最良の成果と難しさは、その才能ゆえに、日本映画の最良の成果と難しさを同時に表しているように思えてなりません。
coco

cocoの感想・評価

3.9

不気味で息の詰まる作品だった。

何が本当で、何が嘘なのか、
それを決めるのは誰か、
決めつけも、思い込みも、正しさも、
嘘と本当は、どれも事実の見方の違いじゃないか。
とぅん

とぅんの感想・評価

3.4

このレビューはネタバレを含みます

西川美和監督のデビュー作。
認知症の祖父が亡くなったことをキッカケにして、家族の本音が溢れ、嘘が剥がれ落ちていく様を描く。

母親のセリフでもあったけど、プライドばっかし大きくて借金という嘘をつき続けた父親と、勘当されて家を出た詐欺師の息子の間でめちゃくちゃ血を感じられるのが素晴らしい。
それに、息子のキャラクターを見ると、こういう人って、人の心を掴むのが上手いんだよなぁというのも頷ける。

この一家の中で、真面目に生きてきた娘だけど、母親が「真面目過ぎて息が詰まる」と言ってるのを聞いちゃうの切なすぎる。
最後は兄貴が行ったと思しき悪事に見て見ぬふりはできず、バッサリと兄貴を切り捨てた娘だったけど、あの蛇イチゴの話は本当だったって事なのかな。何とも言えん終わり方だ。

俳優陣は皆好演で、とりわけ、後に色々あった宮迫博之にこの時点でこういう役を当ててた監督の感覚は凄い。
GO

GOの感想・評価

3.8
悲しい…悲し過ぎる
でも、世の中にはこの現実が沢山あるやろな
宮迫の演技が上手いのが悔しい
ひとつ嘘をついてしまったら、
辻褄合わせにまた嘘をついてしまう。
人間の表と裏。本音と建前。家族と他人。
正義と悪。真面目と不真面目。清廉さと狡猾さ。
カッコウの音楽、托卵、狡猾さ。
ブルース的な音楽がハマってる。
祖父の死、父の多額の借金、婚約破談、兄の詐欺。正義感と決め付け。間違っていたらどうしようという時の正義感の心許なさ。悪だって真実を突きつけるし、正論も人を傷つける。
今の気分に合わなかったけど、たぶんいい

クレジット、宮迫が一番上!?
この時点で既に宮迫の本質を見抜いていたんだなと思うともう流石としか言いようがないっす西川監督...

音楽は西川作品お馴染みのモアリズム〜
宮迫演じるお兄ちゃんの愛すべきヒールっぷりを助長させる装置のようでたまらんのです...ぐあ〜
Ruuu

Ruuuの感想・評価

3.8
宮迫がいい味出し過ぎてた。
家族の寂れかけの歯車が一気に狂ってそこからバラバラになってゆく。
おもしろい。
KOKONE

KOKONEの感想・評価

3.9
西川美和監督の長編1作目。

比較的大きな展開はないけど、その分セリフに注目して見れて面白かった。
あんなに幅広い思想が一人の人間から出てることが信じられない。

西川美和監督の書くセリフは、自然なのに聞いてると惹き込まれる。
登場人物の序盤の発言が後半の展開に生きているなと感じる場面が多く、本当に練りに練られた脚本だと感動👏

宮迫さんの何を言っても嘘っぽい役どころが良かった。
子役時代の染谷将太さんが出ててびっくりした。

物事を完全に善悪と決めつけてはいけないんだなと監督の作品を見るといつも感じる。
ラストの映像で語るスタイルも好き。
水鉄砲

水鉄砲の感想・評価

2.6
「あ、春」を観た後のおすすめで出てきて、ジャケットがカッコ良かったので観ましたが、好きじゃなかった。けど、上手な映画だと思った。

兄と妹間のでの明確な境界。
川、玉すだれ
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