えそじま

銀座二十四帖のえそじまのレビュー・感想・評価

銀座二十四帖(1955年製作の映画)
4.2
森繁久弥の軽快なメタナレに乗せて戦後大銀座を生きる人々を活写した風俗ドラマの傑作で、当時の情景をありのままに映し出した映像は日本近現代史料としての価値も高い。ポン売り撲滅に奔走する銀座花屋コニー(三橋達也)と憂鬱な未亡婦人(月丘夢路)のペーソスな悲恋や、脳天気な姪(北原三枝)を中心に繰り広げられる強烈なユーモアが謎の画家"G.M"の正体を巡るサスペンス性に紐付られラスト性善説vs性悪説の対峙に繋がっていく秀逸な導線。深いパンフォーカスは当時の男女格差を表しているのだろうか。天真爛漫な北原三枝、安倍徹演じるオネェ口調の変態画家、ナンパ師など多様性を象徴するかのような変人達のリズム感も楽しい。注目ポイントとしては幼少時代の浅丘ルリ子演じるキュートな花屋看板娘



「GINZA、GINZA。そうですこれが東京の銀座です。華の銀座、全国の盛場の象徴、銀座。日本の植民地こと東京府の銀座。此処で一寸失礼して学術的考察をいたしますと、地球上の銀座の位置は東経139度46分07秒、北緯35度40分06秒。地質学的にはごく新しい中積層。海豚・鮫の類から鯵・鰯の小魚までが我が物顔に泳いでいたのが百万年前の銀座。つい三百五十年ほど前、慶長年間に埋め立てられるまでは我が銀座も鯨の群れが自動車に跳ね飛ばされる事もなく悠々と潮を吹いていた、青い大陸であったというわけでございます」
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