えそじまさんの映画レビュー・感想・評価

えそじま

えそじま

たのしい知識(1969年製作の映画)

3.8

面白いゴダール。いや決してその激しい思想に共感できるような代物ではないけども。マシンガンのごとく撃ち放たれる挑発的な映像の断片と言語の断片の衝突、色彩とテキストの融合には本来そこ一本で貫き通すべきだっ>>続きを読む

自由を我等に 4K デジタル・リマスター版(1931年製作の映画)

3.9

クレールの主題の中心は、映画本来の表現形態である運動の撮影(シネマトグラフ)、及び娯楽としての視覚的イリュージョンへの回帰にあって、この作品は文明の機械化そのものへの批判ではなく、使い方さえ間違えなけ>>続きを読む

四季を売る男(1971年製作の映画)

4.3

あるトラウマや社会的な抑圧によって破滅した男のあまりにも惨たらしい余生と救済的な死。公務中にチ◯ポしゃぶらせてクビになるわ、果物売りサボって酒飲むわ、浮気するわ子供の前でヨメに暴力を振るうわでとにかく>>続きを読む

若者のすべて(1960年製作の映画)

4.5

滅私ロッコ。聖人は自分を守れない、現実の聖書の不可能性。戦後イタリアの奇跡的復興にはじかれ都会の片隅に散る南部一家連帯の夢。汚点どころの話ではない最悪な兄に対する無償の愛でもう涙腺崩壊です。バガボンド>>続きを読む

恋人たち(1958年製作の映画)

4.5

退屈な時間こそ、一度身を委ねてしまえば取り返しのつかない類いの不安がずっと纏わり付いている。とある貴婦人の漠然とした脱出願望と不安への陶酔。月明かりの芳香に満ちた白い幻に包まれながら滑り落ちていくよう>>続きを読む

ファウスト(1926年製作の映画)

4.8

物語や脚本がどうこうより、もうとにかく前半部分の映像が凄すぎるという一言に本当は尽きるのだけど。モーツァルトがサリエリを、ハイフェッツが同時代のヴァイオリニストたちを苦しめたように、同時代の才ある映画>>続きを読む

チャップリンの黄金狂時代(1925年製作の映画)

3.5

『ライムライト』『独裁者』は別格として。チャップリンは寓話としての世界観を作り込み過ぎている為、作り手の個人的な感情を色濃く反映した(それこそ魂をえぐるような)奥ゆかしさというものが感じられないことも>>続きを読む

近頃なぜかチャールストン(1981年製作の映画)

4.5

「近頃なんだか、おかしいんですよ。もうあの忌々しい過去を忘れたのか、右傾化の風潮があって。いま『肉弾』のアイツが生きていたらどう思ってたんだろうな?戦前・戦中派の異物を中心にアナーキストを集め、ボロの>>続きを読む

スラム砦の伝説(1984年製作の映画)

3.8

砦の建造を祈る生贄に選ばれた青い眼の美青年は、グルジアのDJオズマことモップ野郎が国を出て他の女と結婚したその子どもで、青年は純粋さゆえに女占い師の予言を信じて祖国へ命を捧げるワケだが、女占い師はDJ>>続きを読む

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

3.9

ゾンビ映画並みの不穏さで深夜徘徊するドニ・ラヴァンの破壊力に始まる2時間トップスピードのエモーション。今を全力で生きるみたいな、ある種の青臭さに作品全体の空気を毒されかねない題材で、それをはねつけるシ>>続きを読む

ありきたりの映画(1968年製作の映画)

1.0

くそわろた。お前らそんなに暇ならポケモンとかやってた方がいいって絶対。

ブレッソンの『たぶん悪魔が』とか、ファスビンダーの『第三世代』でまんま皮肉られていたような、とにかく革命を目指しているという点
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翼に賭ける命(1957年製作の映画)

4.6

戦時の栄光を纏い死の標識塔を旋回し続ける落ちぶれた曲芸飛行士、そんな夫への愛に妄執する美しい女、横恋慕を寄せる整備士。カンケイの呪縛に巻き込まれる新聞記者。すべてがある種の作為性と卑俗性ギリギリのとこ>>続きを読む

隣の女(1981年製作の映画)

3.4

トリュフォーらしい三面記事みたいな愛憎劇に、どう見てもロメールを意識したショット。彩度の強い室内で窓に覗く黄緑、庭園やコートサイドの風景、木漏れ日、陰影、絵画…。さらにご丁寧なことに「隣の女」は「飛行>>続きを読む

河と死(1954年製作の映画)

3.5

「名付け親は人妻を寝取るのがうまい(笑)」とかいう謎の煽りから突然始まる殺し合い、以降孫の代まで続く復讐の螺旋。決闘の勝者は河を泳ぎ渡り対岸に隠遁し、敗者は葬送の船によって、これもまた先祖の眠る対岸の>>続きを読む

白夜(1957年製作の映画)

4.2

完全なる敗北に打ちひしがれ、犬にまで同情される男マストロヤンニの暗い背中にどこか身に覚えのある寂寥を重ねる。あの束の間の夢、ぎこちない幸福に包まれたダンスは今を生きる孤独への過程だったか。

世代(1954年製作の映画)

4.0

コルンプ世代とかいう戦争で無垢な青春を失った若者たちのナイーヴさがイデオロギー的な闘争心に転換していく様。昼間は労働、夜間はサボタージュ。淡い恋心すらも必然的に闘う価値へと結びついていくのが悲し過ぎる>>続きを読む

愛は死より冷酷(1969年製作の映画)

4.4

くっそカッコいい。メルヴィルみたいなハードボイルド味があり、初期のゴダールのような軽妙な無軌道さもある。というかもろに『はなればなれに』なんだけど、人物をゆったりと注視する長回しもペーア・ラーベンのハ>>続きを読む

偉大なるアンバーソン家の人々(1942年製作の映画)

4.2

急速な時代の変遷に取り残されていく名家の没落は、チャップリンのあの演説を想起させる。「スピードは人を孤立させ、ゆとりを生むはずの機械は貧困を作り上げ…」みたいな。旧時代に固執する傲慢なバカ息子と自動車>>続きを読む

サーカス(1928年製作の映画)

4.3

時代を超える笑いの発想、卓越した作曲センス、ペーソスに満ちたプラトニックな愛情、奔放な動物達を自由自在に操り、猛獣とも対峙した命懸けのアクション。悪夢のように悲惨な状況設定から喜劇的要素を引き出すチャ>>続きを読む

心のともしび(1954年製作の映画)

4.2

ご都合主義的な運命によって引き合わされた七光りの不純な動機の償いに、美しい色彩や情感溢れる音楽が共感を呼ぶ王道メロドラマ。

一方現実の世間様はというと、こういった無自覚とはいえ生まれてしまった過去の
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小さな兵隊(1960年製作の映画)

3.8

アルジェリア戦争最中にあるフランス軍への批判、解放戦線の肯定という理由で検閲に引っ掛かり、終戦まで上映禁止となっていたゴダール長編第二作。主人公の境遇や内省には『無防備都市(1945年)』の台詞(「立>>続きを読む

オルフェの遺言-私に何故と問い給うな-(1960年製作の映画)

4.5

生死を彷徨う詩人の内省にふわふわと誘われる心地良さ。なんというか、給食を食べた午後の道徳の授業で、さてひと眠りつこうかとささやかに決意するあの時間のような…

暗くなるまでこの恋を(1969年製作の映画)

3.7

嘘くさい美しさ。『去年マリエンバートで』のココ・シャネルを丸パクリしたとしか思えないイヴ・サンローランの羽飾り衣裳、ヒッチコック、ルノワール、コクトー、バルザック、オーディベルティ、ジョゼフ・フォン・>>続きを読む

夢を見ましょう(1936年製作の映画)

4.1

登場人物が三人の軽妙ミニマムな不倫室内劇。台詞のほとんどがギトリの早口ひとり芝居で構成されていて、考えてること全部口に出ちゃうの?ってぐらいとにかく凄い勢いで喋りまくる。記憶力と頭の回転どうなってんだ>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.8

まず不自然な挿入曲を極力使わないところ。だから登場人物達の複雑な感情の揺れが、最も純粋な形で観客の心にスっと入ってくる。例えば「レコーダーから音楽が流れる」これは自然。「バーのシーンでバックに音楽が流>>続きを読む

青い青い海(1935年製作の映画)

4.0

スポーツ科の学生。2人の男が1人の女を取り合うという単純明快なプロットが荘厳な自然描写によって神秘的な寓話にまで引き上げられている。自由自在にうごめく海が意思を持った巨大な生物のようにしか見えない。>>続きを読む

シャン・チー/テン・リングスの伝説(2021年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

基本的にはカンフーアドベンチャー大作だったけどあの義手ソードマンがかろうじてマーベル感保ってたな

しかしそれにしても、片腕犠牲にして宇宙の半分救ったバナーの扱い…連絡先ぐらい教えてやれよ…

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

3.9

映画消滅危機という現実問題(実際馬鹿にならない)をテーマにして、チグハグな茶番劇を大真面目に作っているニキビ面の青臭さというか、もっと下劣で狡猾な猿みたいな青春時代を送っていた俺にこの真っ直ぐな純白さ>>続きを読む

夏の夜は三たび微笑む(1955年製作の映画)

3.9

いつものようなベルイマンの厳格さは陰影を凝らしたショットの視覚的な強さに留まっていて、内容自体は品の良いユーモアが散りばめられた、少し毒気を含みつつもらしからぬ可愛さに包まれている(展開はエグい不倫モ>>続きを読む

幻影は市電に乗って旅をする(1953年製作の映画)

3.8

『忘れられた人々』『昇天峠』等でも脚色に加わったというルイス・アルコリサ、フワン・デ・ラ・カバダがブニュエルの作家性に妙味を加え、上記2作があわさったような仕上がりになっているのだと思う。冒頭の愛嬌あ>>続きを読む

夏の嵐(1954年製作の映画)

3.6

イタリア統一戦争のさなかに燃える個々の熱情。「恋は盲目」と要約出来てしまうメロドラマに2時間かけているワケだけど、そこで冷めた感情を置き去りにさせないのは、目も綾な衣装や絢爛たる装飾であり、暗い敷石道>>続きを読む

タルテュッフ(1925年製作の映画)

4.7

現在進行中の劇の中で劇中劇がメタ進行する王道の枠構成(この時点でもう既に使い古されているようなので)に関しては、今更観たところで何ら驚くことはないが、創意に満ちた光と影の流動、衣装・美術のディテール、>>続きを読む

恋人のいる時間(1964年製作の映画)

3.9

愛を語りたがる方と、感じたがる方。過去を記録する方と、今を生きる方。結婚生活(愛の周期性)の否定。自制できない力によって突き動かされる幸福。言わんとしてることはトリュフォーの『突然炎のごとく』とほぼ同>>続きを読む

若い娘(1960年製作の映画)

4.3

蜘蛛、死体、雌鳥、林檎、美脚、靴。お決まりのブニュエル的ド変態遊戯を存分に発揮した男女の関係を描きつつ、まさかの反人種差別的なテーマが物語の筋になっている。その気があるのかどうかは本人のみぞ知ることだ>>続きを読む

巴里の女性(1923年製作の映画)

3.9

チャップリンもいなければ笑いもないチャップリン映画。ちょっとした仕草や視線、情景の暗示でストーリーや人間心理の綾を映し出した省略の美学。当時の技術でこんな芸当が出来るのはグリフィスかチャップリンぐらい>>続きを読む

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