ブラウンソースハンバーグ師匠

浮き雲のブラウンソースハンバーグ師匠のレビュー・感想・評価

浮き雲(1996年製作の映画)
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ケーブルテレビに加入していたときに観た。
監督作品はこの映画が初体験だった。衝撃を受けたのを覚えている。

職場の厨房を定点で映している。画面外で男が暴走している。それを煽るようにやかましい音楽が鳴っている。いかにも屈強そうな同僚が暴走する男を静かに止めに行き、静かに失敗し、静かに立ち位置に戻る。

(なんだこのターン制みたいな動き……)
(やかましい音楽に対して、登場人物のテンションがついていってない……)

そこから観ては巻き戻してを繰り返し、30分くらい映画が進まなかった。

路面電車を運転する夫と、その後ろで立つ妻の二人だけの空間は、圧倒的な多幸感だ。無感情的な演技がすごく効いている。

自分はプロレタリアものが苦手だ。プロレタリアものの「しんどさ」が、根っからの仕事嫌いである私のみぞおちにメリメリくるからだ。
だが、この監督の世界観に通底する「おかしみ」により、へその下を軽く押してくる程度で済んでいる。(そして私の便通はよくなる)