私の映画

浮き雲の私の映画のレビュー・感想・評価

浮き雲(1996年製作の映画)
4.5
ある日突然、生活もままならないほどのなんらかの理不尽な不幸に襲われた時、その絶望は計り知れないのかもしれないが、死なずに生きてさえいれば案外どうにかなるものなのかなと微かな希望を感じさせてくれる映画だった。本作の登場人物たちは同じ日に会社をリストラになった夫婦をはじめ、奥さんの元同僚とかレストランのその他の従業員とか不幸に見舞われる人が多いが、哀愁は漂っているもののその人たちが人間臭くどこかユーモラスに描かれていて、不思議と惨めには見えない。
社会ってこんなに冷たいんだ…と心を痛めると同時に夫婦愛だったり思いがけない人との縁だったり、人の心のあたたかさも感じられてなんだかきっとこのさきも大丈夫よね、と思わせてくれる。絶望のなかに垣間見える希望。色々もがいているうちにそれが不思議と見えてきたりするからわたしたちは生きていける。
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