一人旅

カレンダー・ガールズの一人旅のレビュー・感想・評価

カレンダー・ガールズ(2003年製作の映画)
5.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
ナイジェル・コール監督作。

イギリスの田舎町を舞台に、ヌードカレンダー作成に奮闘する主婦たちの姿を描いたハートフルコメディ。

おば(あ)ちゃんたちが主人公の映画ということで『森の中の淑女たち』(1990)や『マルタのやさしい刺繍』(2006)といった作品を想起させる、実話を基にした映画。イギリスの田舎町を舞台に、女性連盟所属の11名の主婦たちが、地元の病院に記念品を寄付するための資金を集めるため、主婦たち自らがモデルとなったヌードカレンダー作成のため奮闘する…という“主婦たちのヌードカレンダー作成奮闘記+α”を、イギリス・ヨークシャー地方のほのぼのとした田舎風景に乗せて映し出してゆく。

オーバー50の熟女たちが大胆ヌードになり撮影に臨む姿がシュールでとにかく楽しい逸品。ヌードと言っても見えそうで見えない際どいヌード。ケーキでおっぱいを隠したり、粉砕機でおっぱいを隠したり、冊子でおっぱいを隠したり…。カメラマンはモデルの主婦たちよりずっと若い男性なので不満噴出。カメラマンは撮影の事前セットだけ行い、肝心の撮影時には外につまみ出される気の毒な始末。連盟支部長からの反対、息子の反発、夫の不倫、主婦たち自身の戸惑い・恥じらい等に直面しながら、ヌードカレンダーは着実に完成を迎えてゆく。ヌードカレンダー完成までの悪戦苦闘の模様だけでなく、完成後の展開(地元メディアからの取材殺到、全国テレビでの特集、さらにはハリウッドに招かれ全米デビュー)もしっかり描かれるため見所がいっぱい。イギリスの田舎町で始まった11名の主婦たちによるヌードカレンダー作成が、あれよあれよという間にイギリス中さらには全米を巻き込んだ一大騒動に発展してゆくさまがユーモラスで笑いに笑える。

そうした中、ヌードカレンダー作成によって得られる名声と引き換えに忘れ去られてゆく本当に大切なもの(家族との絆、親友との友情)に主人公自身が気づかされる作劇であり、その失敗と反省が物語をハートフルで感動的な着地点へと誘い込む。終始コミカルで笑える展開ながら、人生の意味をしっかり見出した脚本が秀逸。

主演のヘレン・ミレン(主人公クリス役)の大胆不敵な演技が圧倒的。製作時58歳という還暦間近の年齢ながら、妙に色気のある爆乳ナイスバディーを披露している。クリスの異常な行動(エロ本を眺める、家で全裸になる)を見て悩む思春期の息子の画もシュールで笑える。共演は『リトル・ダンサー』(2000)『ハリー・ポッター』シリーズのジュリー・ウォルターズ。
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