イチロヲ

魔性の香りのイチロヲのレビュー・感想・評価

魔性の香り(1985年製作の映画)
4.0
自殺未遂者の女性(天地真理)を救助した男(ジョニー大倉)が、彼女のもつ不思議な魅力に惹き寄せられていく。謎多き女に惹かれる男の葛藤劇を描いている、日活ロマンポルノ。結城昌治原作。ディレクターズ・カンパニー製作。

天地真理(当時34歳)のオールヌードは、さすがに見目麗しいとは言い難いが、三十路女性の「素のハダカ」として、普通にいやらしい。一方、台詞芝居の拙さは、精神不安定な女性という役どころの一助となっており、総じてポジティブに働いている。

石井隆脚本ということもあり、雨がザーザー降りの演出に拘っている。とりわけ、主人公に強迫観念が芽生える場面での、水没していくイメージが出色。「男女の化かし合い」がごくあたりまえになっている、大人同士のダウナーな物語が、気持ち悪くてサイコー。

天地真理が死に急いでいる理由付けに、もっと「ズシーン!」とのしかかる衝撃が欲しかったけれど、総合的には満足できる仕上がり。
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