この中年期の葛藤がテーマの作品って、老いの自覚→適応的な価値観の転換→自分らしさ再構築といったことが普通描かれるわけだけど(劇中劇の戯曲も本来そういうものだったはず)、カサヴェテス監督自身が「そもそも適応なんてするなバカ」って考えの人なので(なぜなら〇〇らしい振舞いを強要してくる大人は全員ゾンビだから)、そこが今作でもフックになってる。
最後盟友ピーター・フォークとピーター・ボグダノヴィッチのカメオ出演があるが、彼らがユダヤ系の映画人であることは知っておいた方が良い。マージナルな視点で描いてる証だから。