さすらいの旅人

金門島にかける橋のさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

金門島にかける橋(1962年製作の映画)
3.4
裕次郎と台湾の新人女優との戦禍の中でのラブロマンス
【CATV/チャンネルNECO/放送録画視聴/シネスコサイズ】

当時珍しい台湾との合作映画で台湾国軍の全面協力作品。
金門島は中国大陸に近く現在台湾が実効支配している島との事。1979年まで中国本土から砲撃を受けていたらしい。

台湾女性と日本の恋人との三角関係に悩む外科医の裕次郎の物語だ。
台湾の女優(華欣)は綺麗だが片口の日本語のため、中々共感しづらかった。日本の恋人は今見ても可愛い芦川いすみだ。個人的には芦川を応援したいと思ったが、そこは合作映画だから難しいところ。最後の落としどころも昔からの王道の終わり方でモヤモヤ感が残った。

本作の驚きは現地国軍協力のため、本物の軍隊や車両が登場していた事だ。砲弾の着弾の爆発の威力も半端なく大きく、私の観た邦画の中ではトップクラスの迫力であった。反共映画としての匂いも感じるが、国際的ラブロマンスの映画としてもスケールが大きい。現地撮影もレベルが高く、台湾の人々の協力具合もリアル感タップリで謝謝だ。

製作年度が1962年と古いが、当時の社会情勢の雰囲気をドキュメンタリータッチもあり見事に描写していた。裕次郎は高身長のため、台湾の街を歩くと目立ってかっこいい。本作は現在では忘れられた作品であろうが、今見ても興味深い作品だ。