三条狼

楢山節考の三条狼のレビュー・感想・評価

楢山節考(1958年製作の映画)
4.2
PLAN75の話を友人としていて楢山節考見なきゃね、と言っていたら目黒シネマでやっていた。

小さいころ母からはじめて姥捨山の話を聞いたとき、なんとも言えない気持ちになったことを覚えている。幼心に「捨てられるくらいなら、老いてしまう前に若く美しく死にたい」と思うようになった。

このお話では、おりんは息子に止められようとも自らお山に行く、と言って聞かない。だから捨てられるというよりも自主的に死にに行っているわけだけれども、だったらどうしてそんなに悲しい笑顔をするのか、というその表情に胸を打たれる。いっそあの「死にたくない」と駄々をこねるおじじよろしく、自分の本心に気がついてほしかった。

演劇的な演出、バチバチの照明、美しい美術がそろいまくったザ・木下惠介的な作品だった。

鑑賞後友人と話をしていて、でもあと40年経ったら私達も捨てられる側なんだなという話題になった。生まれてからのこれまでの30年よりも、きっとこれからの40年のほうがあっという間。その頃には私達は、いったいどんな心境になっているのだろうか。


あとこれだけはどうしても言わせてほしい、始まりから不穏すぎるしいつかはやるんだろうと思ってたけど、なんで嫁が来た直後にそれをやるの……嫁に逃げられなくてよかったよ……。
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