楢山節考の作品情報・感想・評価

「楢山節考」に投稿された感想・評価

yuu

yuuの感想・評価

4.0
第12回京都ヒストリカ国際映画祭にて

ヒストリカフォーカス
松竹100周年

昔観た緒形拳の「楢山節考」も強烈な印象だったけど、違うインパクトがあった。

山道を駆けるシーンが良かったなぁ。
食べる物に不自由しないことが、どんなに幸せなことかを考えさせられました。

今村昌平版が画も内容も生々しくリアルであるのに対して、本作はその対照をなすものとさえ言えるような気がします。そもそも今村昌平版は「東北の神武たち」も原作にしているため内容が変わってくるのは当たり前なのですが。本作は徹底的にセットで撮影され、終始歌が流れており、照明、場面転換まで、どれもが演劇的です。鮮烈な映像です。内容は現代の価値観からすれば姥捨山という惨い話です。楢山様に謝ることと根絶やしも惨い話です。ですが、せめてお荷物にはなりたくないと願う田中絹代の優しさで溢れる目の演技が映画を柔らかい印象にさせているように思います。

そして、掟なんだから仕方ないと、腑に落ちてしまう自分に少し怖くなりました。自分がこんな境遇に置かれたら、この息子のようにはなれないと思います。
1958年製作の方。
映画なんだけれど、歌舞伎な演出でとてもインタレスティング!
場面転換の際に舞台セットが動いたり、BGMに浄瑠璃や長唄を使用していたり(長唄に普段馴染みがないから聞き取るのが少々むずかしいw)。
役者さんたちの演技も、演劇寄り。
芸術的な面で好きな作品。

70歳になった老人は口減らしのために山に捨てるという恐ろしいおきてのある貧しい集落。ちょうど70になる母・おりんとその倅・辰平の親子愛にスポットを当てた物語。
なかなか心が沈む~。
ケサキチなどの若者が「山へはやく行け」「いつ行くの?」みたいな軽い感じで話していることが恐ろしすぎて印象的だった。いくら掟だからと言えど…血も涙もない~。

夜、2人が楢山まいり経験者から忠告を受ける場面の不気味さと緊張感。じれったい長回しと青白い照明がよかった。
終盤、走る辰平。走り方?がすごくいい。
【木下惠介特集⑧ 木下惠介が作った自然】

木下監督作品の中でも、というよりは日本映画の中でも異彩を放つ深沢七郎原作『楢山節考』。

映画としては今村昌平版の方がテンポがあるのだが、あちらは完全にポルノ映画(吉本隆明がそう言ったのかな)なので、純粋な文芸映画として楽しみたいなら本作。

貧しい村で食糧を確保するため、人べらしに老人を山へ捨てる "姥捨て" という風習を、生々しさを抑えるために歌舞伎の演出で全編を描く。

山奥が舞台なのにそれをオール・セットで撮っているのだが、またこれが美しい。

いかにもセットって感じだが、川が流れているわ、風が吹いているわで、なんだがディズニーランドのアトラクションにいるようで観ていて楽しい。

クライマックス、おびただしい数の白骨が転がる楢山に雪がしんしんと降ってくる。やがて一面の銀世界になるのだが、この場面だけセット撮影という感じがしないぐらい美しい。

木下監督は自然風景を撮らせたらまず右に出る人はいないと思うが、人の手で作られた自然でもあれだけ美を感じさせるのだから、改めて凄い人だと感じた。

本作で捨てられる母親を演じたのはまだこの頃アラフィフだった田中絹代。

劇中、年寄りのくせに歯が抜けていないのを周囲からからかわれて、前歯を折る場面があるのだが、そのシーンのために本当に抜歯したという。

息子役の高橋貞二も役柄のために15キロも減量したそうで、本作の高橋は『東京暮色』『彼岸花』のような現代っ子とはまた違った、母親想いの中年を自然に演じている。

この時代、銀幕の大スターたちがデ・ニーロ・アプローチのようなことをしているのが驚かされる。

あと高橋の弟役を演じているのは、大和田常務こと香川照之のパパである市川猿翁である。が、芝居が固すぎて、田中&高橋と比べちゃうと滑ってる感じ。

木下惠介特集もこれにて終了。今年に入ってから黒澤明以外の邦画黄金期の監督について中心的に見まくった。

溝口、小津、成瀬、市川、木下と続けて、やはり日本映画も素晴らしいなぁと、当たり前だけどそんなことに気づかされた数ヶ月でした。

■映画 DATA==========================
監督:木下惠介
脚本:木下惠介
製作:小梶正治
音楽:杵屋六左衛門/野沢松之輔
撮影:楠田浩之
公開:1958年6月1日 (日)
marica

maricaの感想・評価

4.0

宮口精二が珍しくヘタレ?の役。七人の侍の時とは全然違くてたのしい。田中絹代、すごいなぁ。玉やんが家に来た時の嬉しそうなおりんが良かった。そして、伊藤雄之助が宮口精二の倅役って合っている笑 終盤の三味線がめちゃロック。

岩下志麻は演じたい役1位にサンセット大通りのノーマを挙げていたけれど、私が女優だったらこの楢山節考のおりんを演りたいな。
映画全編を通して伝わる気迫に圧倒され、震えながら観ていた。姥捨を歴史的事実として忠実に描くというよりも民間伝承として残っているものと位置付け、そのために一つの架空のムラ社会を全てセットで作り上げるというのがまず凄い。美術の力の入りようは狂気のレベルで、それを引きのカメラで登場人物の寂しい佇まいと共に撮るので、画面から伝わる寂寥感は本当に震えるほど恐ろしい。振落しやライトの使い方、そして和楽器が鳴り続ける歌舞伎的演出も奇妙ながら映画的なものにきちんと収まっており、姥捨の流れの説明をも演出に落とし込む徹底ぶり。そして言うまでもなく田中絹代の鬼気迫る演技。日本社会の黒い部分を今でも批評し続ける傑作中の傑作。職人監督の木下惠介、きっと本作だけは好き放題できたんじゃないでしょうか。

幕前の口上にはじまり、全編にわたって義太夫と長唄をともなうという、文楽や歌舞伎の手法をとりいれた実験的な作品。
わざわざスコープサイズで撮られているのも、日本の伝統的な劇場の異様な横長の舞台を意識してのものだろう。
セリフも演技も、また照明、美術も完全に舞台演劇のそれであり、その統一感が見事。

後年の同名映画と違ってテーマが絞られており、そのぶんリアリティある人間ドラマとしてよくできている。

いちど舞台で演じているのを観てみたくなる、田中絹代の名演。
wong

wongの感想・評価

4.0
スタジオセットの作り込みが綺麗。
リアルさは薄いが
セット故の計算された構図が相まって
よくできていた。途中の場面展開や
ライティングは演出感の強いものだったが世界観含めとても良くできていた。
緒形拳好きだし今村昌平版と迷ったがこちらに。

有名な姥捨山の親子情愛物語。開始早々口上が始まり学芸会みたいな演出に戸惑いを隠せず。それはすぐに慣れたが途中で挟まれる長唄?が聞こえづらくちょっとしたストレスに。深夜に音量控えめで観るのには不向き。

今作のため前歯を自ら抜いた逸話は有名だが、69歳設定の田中絹代は実年齢40代で捨てられるには若すぎる。走って戻れそう…。実際隣のお爺さんは捨てられるのが嫌で嫌でしかたなく山の途中から激走して家に戻ってた!

それでも親子の別れの場面では感情移入してウルウル。年老いた親を置き去りなんて出来っこないですね。
パルムドール取った楢山節考だと思い込んで借りてしまった
俺には早すぎた まず聞こえない
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