クリーム

楢山節考のクリームのレビュー・感想・評価

楢山節考(1958年製作の映画)
3.9
今村昌平監督作品は、以前に観賞済み。こちらの方が地味だけど終盤の楢山参りのシーンは、圧倒的に良かったです。全体的には私は今村作品が好きだけど、テイストが違うので、どちらも甲乙付けがたい。間違いなく良作でした。ずっと流れる詩吟が慣れなくて気になったけど…。

山奥の村。69歳のおりんは、嫁に死なれた息子辰平と孫のけさ吉達と暮らしていた。村では70歳になると楢山参りに行く事になっていた。村の楢山祭りの日、隣村から辰平の嫁お玉が来た。年も辰平と同じで気だてが良く、おりんは安心して楢山へ行けると思った。
歯が丈夫なおりんは、自分の歯を石臼にぶつけ、楢山参りの支度を済ませた。
あとは冬を待つばかりであった。



ネタバレ↓



そんな中、けさ吉の子を身籠った松やんが転がり込む。何も出来ないのに良く食う女で、おりんは、ねずみっ子(曽孫)が生れる前に楢山へ行かねばと決心した。お山まいりの儀式ののちに辰平に背負われたおりんは一語も発せず楢山の頂上へ。おりんは岩陰に降り辰平を村へ帰した。辰平は、七谷という所で銭屋の伜が又やん(楢山参りを拒否していた70歳の爺さん)を崖からつき落そうとするのを目撃、銭屋の伜と揉み合いになり、男を突き落としてしまった。
その時、雪が降り、辰平は思わず戻るが、おりんに追い帰された。
家では玉やんが、雪が降って良かったと言い辰平と2人で自分達も70歳になったらと言って終わる。

セットが舞台の様だし、詩吟も慣れなくて、古さを感じ観てたのですが、楢山参りのシーンがキツかったです。現在の自分は、親子のどちらの気持ちも解るので、心に突き刺さる思いで観ました。2人の描写が今村作品より丁寧だったと思います。残酷な風習をより腹立たしく観れる。お玉もこちらの方が良い人に描かれていました。あんな暗く寒い中で死を待つなら、崖から落とされた方が全然、どちらにとっても楽なのにと思ってしまいました。雪が降って良かったかぁ、気休めにも程がある。
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