TaiRa

XYZマーダーズのTaiRaのレビュー・感想・評価

XYZマーダーズ(1985年製作の映画)
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サム・ライミの非モテヒーロー映画の原点でもあるし、コーエン兄弟のポップ殺戮映画の原点でもあるのでめちゃくちゃ重要。

コミカルな演出と荒唐無稽な殺人連鎖がテンポ良く展開して楽しい。非モテの主人公が惚れた女性に振り向いて欲しいラブコメ軸とキチガイ殺し屋コンビがバカ過ぎる故に死体が山積みになって行くブラックコメディの軸が並行する。交差点を中心にアパート、警備会社オフィス、ダンスホールの狭い範囲で収める位置関係とか好き。3つの場所で起こる事を上手く繋いで行く見せ方も上手いし、それらが段々繋がって行く展開もさすがって感じ。キャラクターのコミカルさはコーエン兄弟だと『赤ちゃん泥棒』とかに繋がる。サム・ライミのダークでポップな作風もここから始まってる。『死霊のはらわた』も『ブラッド・シンプル』も割とシリアスで硬派だしね。殺し屋が目撃者の主婦の部屋へ押し入ってからの皿投げ主観とか最高。地震?からのカーペット引きづりとか、植木鉢の落下を重ねるとことかも良い。台詞やアクションを地味に反復させてるのもウェルメイド。警備会社オフィス内を主婦が逃げながら優雅にドアを閉めていく横移動、そこから折り返す形で壁のドミノ倒しが展開するもヤバい。クライマックスのカーチェイスも何気に良く出来ているしテンション高い。車落ちそうサスペンスはサム・ライミがよくやってる印象。死刑執行ギャグからのラストも粋。サム・ライミって終わり方がいつも楽しい気がする。モテ男を楽しそうに演じるブルース・キャンベルが最高だし死に様も最高。
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