Yoshishun

続・荒野の用心棒のYoshishunのレビュー・感想・評価

続・荒野の用心棒(1966年製作の映画)
4.1
タランティーノが惚れ込み、本作の主演フランコ・ネロを自身の監督作『ジャンゴ 繋がれざる者』に脇役として出演させたことでも話題となったマカロニ・ウエスタン。ゴーストタウンと化した西部の街で2大勢力が領地争いをする中、流れ者が現れるという下りは似ているが、勿論日本の配給会社の勝手な邦題なだけで『荒野の用心棒』とは一切関係がない。ただ、泥臭さと血と暴力に満ちたバイオレンスな世界観を築き上げたという意味では、偉大な1作といえるだろう。

女性への拷問から始まり、リンチ、耳剥ぎ、大量虐殺、両手潰しという肉体面でのバイオレンス描写が盛り沢山で、かつ人種差別主義者やアンチクライストなキャラクターの登場で物議を醸し出し、実際に各国で上映禁止となっていたようだ。しかし、このアメリカン西部劇とは一線を画すアナーキーな作家性と暴力性に満ちた作風にこそ、多くの映画人が魅了されていったのは間違いない。敢えて粗く作られた画面構成も、より本作の暴力性を増幅させている。

フランコ・ネロは、イーストウッド程のカリスマ性や大人の色気は感じないが、青二才だからこその自信と若々しさ、そしてそれが仇となり痛い目に遭う間抜けさの二面性が良い。あんなに大事そうに引っ張っていた棺桶も、やたら雑な扱いをしていく後半からも彼の適当さが際立つ。それでも愛する女性のために復讐を果たさんとする姿勢はまさにヒーローらしく、十字架に掛けられた血濡れた拳銃、そして画面奥へと去っていくジャンゴという構図は最高にキマっている。

元仲間のウーゴにしてやられたのに、何故か敵幹部のジャクソンにのみ恨みつらみを募らせるに留まり、序盤で例の武器がお披露目されるものの、その後はほぼ活用されないことに物足りなさは感じるものの、妻を殺された男の孤独と復讐の旅路に焦点を充てる分かり易い構成にするためと思える。タランティーノが好むのも頷けるバイオレントなマカロニ・ウエスタンだった。
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