かに

ブライトスター いちばん美しい恋の詩のかにのレビュー・感想・評価

4.6
19世紀のイギリス、上流階級の女性と若い詩人の恋。
伝記映画でもあるのだけれど、少女漫画かってくらいときめきいっぱいでうっとりニンマリしているのもつかの間、怒涛の切なさに襲われる物語。
終始画は美しいし、キーツの詩をはじめ使われてる言葉たちも美しい。ポスターにもなっているシーンをはじめ、花や蝶、日光などの自然の美しさが特に印象的だった。
「どうしてこうなってしまうの…」という切なさ、2人を苦しめる要因は大体時代性によるもので、よりやるせなさが増す。少し触れただけで消えてしまいそうなキーツと、凛々しくも実は繊細なファニー、2人とも真っ直ぐで不器用。そんな点もこちらの胸をキュッとさせてくる。時代といえば、当時の服装も文化も習慣も抜け目なく丁寧に描いていて流石すぎた…知らないことも多くて普通に勉強になった。

にしても、「夭折する芸術家」が似合いすぎるウィショーさん。儚さ、妖精感、線の細さ、全部えげつなかった。途中から気が動転して「これベン・ウィショーの公式PVって言われても信じるぞ!?」と思い始めていた(違います)。エンドロールで使われてる詩の朗読だけ以前聞いたことがあったのだけれど、やっぱり素敵な声。サントラ欲しい。
訳された方がとても上手だったのもあり日本語版の詩も美しかったのだけれど、やっぱり詩は元々の言語で味わうのが一番理想的なのかなと思ったりもする。そのためだけに英語をちゃんと習得したい気持ちになる。やるかどうかは別として気持ちだけはある…。
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