ATSUSHI

フロンティアのATSUSHIのレビュー・感想・評価

フロンティア(2007年製作の映画)
5.0
まったく関係ないところから話を始めますが、
『野性の証明』で中野良子さんの言ってた「弱い者でも戦える」の台詞。
実質ヒロインでもある彼女がこれからって時に退場するわ映画自体もカタルシスないわでどう落とし前つけてくれるんや
とか嘆いてたなか運良く出会えたのがこの一作(笑)
あの映画が証明しきれなかったものをここでやり切ってくれた。
月40本映画観てた時代、レンタルショップに寄り道しては片っ端から借りてた作品のなかでも
特に気に入った一本です。



いい加減本題に入るとして、
本作は2000年代に出たスプラッターのなかでもかなりトップクラスに入るんではないでしょうか。
B級映画ならではの熱気と荒削り具合も良い方向に持っていってる感じもしますし。

妊婦が主人公でフレンチスプラッター、となると『屋敷女』を思わせますが全然そんなんじゃない。
いわゆる田舎行ったら酷い目に遭う『悪魔のいけにえ』系の王道ホラーで、既視感が付きまといがちになるジャンルものを飽きさせることなく仕上げたのが好感。
ホラー特有のクラシカルなダークムード(暴動が後を絶たないフランスの暗鬱さも良い)、
無くてはならない飽きんばかりの血だまり、
基盤に沿ってるなかでも随所に作り手の個性が光る。

音楽にもなかなかセンスを感じさせたり、手ブレの激しさとかカット割りの多さが程良い構成も後に『ヒットマン』の実写を成功させただけあるかと。

なんといってもクライマックス。
悪く言ってしまえば<お約束>って切り捨てられそうになる終盤の盛り上がり方が尋常じゃない。
ヒロインの妊婦さんがたった一人でネオナチ一家に立ち向かうその姿はファイナルガールの鑑。
丸ノコのシーンによっしゃー💪
弱い者でも戦えるのだ!




体力が有り余ってるバイオレンス映画のファン、
『野性の証明』と本作の二本立てにチャレンジはいかがでしょうか?(笑)