Ryan

黒い罠のRyanのレビュー・感想・評価

黒い罠(1958年製作の映画)
3.0
批評家から"黙殺"された作品



ストーリー
メキシコ国境の小さな町で起こった車の爆殺事件。偶然にも現場を目撃したメキシコ政府の特別犯罪調査官ヴァルガスは事件の捜査に乗り出すが、アメリカ側の担当者であるクインラン警部はヴァルガスの介入を露骨に拒否。だが上司の命令で、クインランはやむなくヴァルガスと共同捜査を開始する......。


監督・主演 オーソン・ウェルズ



序盤の長回しは天才。
これが生まれる時代を間違えた天才か。
実に見事。現代の基礎となるような斬新な作品だっただろう。

ストーリー的には大した事はない。
ありきたりでそこまで面白くなく、見応えは感じられない。
しかし、キャストが演じるキャラクターたちの持つパワーが凄まじく、現代にはない。
これが独特な間や空間を作り出している。
オーソン演じるハンクなんてもはやオーソンの演技力によってここまで持ってきたようなもんで彼を中心に映画は回ってると言っても過言ではない作り方。
この時代にこの内容をやる勇気と原作を大幅に変更するだけの度量は大したもんだろう。
まだ差別意識の薄い時代に思い切った変更だ。

現在ではカルト的人気を誇る今作。
当時は散々な批評だったが、ゴダールやトリュフォーの大絶賛により今や名作の仲間入り。
作家主義の作品ってのはやっぱ人を選ぶんだな。
Ryan

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