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黒い罠のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

黒い罠(1958年製作の映画)
3.9
さすが、オーソン・ウェルズ。ノワールのおもしろさが凝縮されていた。最後の最後までからくりがわからない。これより15分長い完全修復版が編集されているが、そちらを観たかった。というのは、テンポが速いのはよいのだけれど、はしょられたような感じのところがあちこちにあり、ストーリー展開はおもしろいのに、ついていけない時がたびたびあった。

舞台がメキシコとアメリカの国境の町で、両国にまたがる犯罪をアメリカとメキシコ双方の警察が追うが、互いのやり方が違い、ぶつかる。地元ギャングがからみ、誰が本当の犯人か、冤罪か、捏造か、警察の汚職か、複雑で、最後までわからなかった。欲望より<愛>ゆえに、なのか。

アメリカの刑事をオーソン・ウェルズ本人が演じ、主役のメキシコのエリート刑事がチャールトン・へストン。

冒頭長回しが有名。妻と国境の町を歩くチャールトン・へストンを前からカメラがとらえ、その数分間で犯人の犯罪と国境ならではの複雑さを画だけで見せている。ユニバーサルスタジオのセットみたいで面白かった。

マレーネ・ディートリッヒが歌わずに酒場のマダムとして登場。雰囲気があり、アイコン的。ちょっとパターン化したキャラクターなのが残念。

編集の問題がなければ、もっとスコア上げたい。短く収めなければならない理由があったのだろう。
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