Keiko

ヒミズのKeikoのネタバレレビュー・内容・結末

ヒミズ(2011年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

園作品に出演したことのあるオールスターが大集合。
特に、『冷たい熱帯魚』の悪人たちが(愛子以外)みんな打って変わって善人として登場するもんだから笑ってしまった。吹越満と神楽坂恵は同じ夫婦役だし。
他にも園作品で見たことのある俳優が揃っている中で、出演時間5分にも満たないチョイ役に吉高由里子を使っていたことにびっくり。

原作は未読。基本の大筋はそのままに、東日本大震災の要素を新たに加えたとのこと。
震災で多くを失った人々に、追い討ちをかけるように押し寄せる別の困難が描かれる。
震災からの復興が綺麗事では進まないことを大いに皮肉っているように見えた。必ずしも希望の花は咲かない。

登場人物の多くがデフォルメされているから、その姿は一見非現実的に映る。でも、本当にそうだろうか?
さすがに景子の母親みたいに、娘に自殺させるための首吊り台を作って泣きながらデコレーションする女はいないだろうけど、「あんたなんか産まれなければよかった」と言う親はいくらでもいる。

そう思うと、住田や景子のキャラクターはむしろ自然に思えた。機能不全家族で育ったから「普通」に執着する住田と、親に虐待されているから外では必要以上に明るく振る舞う景子。こういう子供は実は本当にたくさんいる。
だから、彼らが語った未来の計画を聞いて泣きそうになった。結婚して子供が生まれて、パパ、ママと呼んでくる。それは彼らにとって、自分自身が幼少期に経験できなかった幸せの形なんだ。
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